SpaceXは、xAIのデータセンター「Colossus」向けに稼働している無許可のガスタービンを2027年7月までにすべて撤去し、1.2ギガワット(GW)規模の常設天然ガス発電所へ移行する方針を示した。一方で、既存タービンの稼働を巡る環境規制違反の訴訟は引き続き争われる見通しだ。
米TechCrunchが7月31日(現地時間)に報じたところによると、SpaceXはメンフィス近郊にあるxAIのデータセンター「Colossus」の電源を、1.2GW規模の常設天然ガス発電所へ切り替える計画を進めている。
現在はガスタービン69基を稼働させている。これらのタービンはすでに数カ月にわたって動いており、同社は直ちに停止するのではなく、2027年7月まで段階的に撤去する予定だ。
問題となっているのは、これらのタービンが必要な許認可を得ないまま稼働してきた点だ。全米黒人地位向上協会(NAACP)とSouthern Environmental Law Centerは、xAIが無許可でガスタービンを使用しているとして提訴した。SpaceXは2月にxAIを買収し、データセンタープロジェクトを承継した。
SpaceXは、既存タービンは輸送用トレーラーに搭載された移動式設備であり、固定式の発電設備には当たらないため許可は不要だとの立場を示している。これに対し、連邦規則では、設備がどのような構造物に設置されているかにかかわらず、発電規模や使用形態に応じて許可が必要になるとしている。
環境面での懸念も根強い。タービンの設置場所は、テネシー州境に近いミシシッピ州側で、メンフィス南部に位置する。この地域は、米国内でも大気汚染問題が深刻な地域の一つとされる。
xAIが運用してきたガスタービンについては、年間2000トンを超えるスモッグ原因物質の窒素酸化物(NOx)を排出する可能性が指摘されている。地域の環境団体は、大規模データセンターの電力需要を支えるために、周辺住民が汚染の負担を強いられていると訴えている。
ただ、米連邦政府はSpaceX側の主張を一定程度後押ししている。米司法省は先月の関連訴訟で、無許可タービンの問題は単なる環境問題ではなく、国家安全保障や経済安全保障、エネルギー安全保障に関わる事案だとの見解を示した。
SpaceXが進める新発電所の規模も大きい。ミシシッピ州の許可文書によると、新発電所は16.48メガワット(MW)から50MW級のガスタービン41基で構成される予定だ。既存の69基とは別設備とみられるが、現在稼働中のタービンの具体的な機種は公表されていない。
投資額も巨額だ。SpaceXはIPO関連資料で、今後3年間にデータセンター向けガスタービンの購入へ28億ドルを投じる計画を明らかにした。暫定的な電力設備への依存から、長期運用を前提としたエネルギーインフラへの転換を進める投資と位置付けている。
イーロン・マスクは今年初め、暫定的な天然ガス発電を手がけるAPR Energyを買収した。ただ、APR Energyが保有するタービンも、今回の許可文書に記載された新発電所の設備とは別とされる。このため、これらがColossus以外のデータセンタープロジェクトに振り向けられる可能性も指摘されている。
今回の計画見直しは、AIデータセンターの拡張に伴って電力確保が主要課題になっていることを改めて浮き彫りにした。SpaceXは安定供給に向けて大規模な発電インフラ整備を進める一方、無許可タービンの稼働と地域環境を巡る論争は、2027年の撤去完了まで続く公算が大きい。