ビットコインETFのイメージ写真=Shutterstock

ハードウェアウォレット「Coldcard」で約8900万ドルの資金流出が発生し、ビットコインのセルフカストディを巡るリスクが改めて注目されている。BloombergのシニアETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、今回の事案によって規制下にあるビットコイン現物ETFの利点が際立つ可能性があるとの見方を示した。ブロックチェーンメディアのU.Todayが2日(現地時間)に伝えた。

問題の中心にあるのは、カナダのCoinkite Inc.が開発したColdcardウォレットのファームウェア上の欠陥だ。報道によると、この欠陥は2021年から存在していたとされる。

同ウォレットは、分離されたハードウェアチップ内で秘密鍵を生成せず、予測可能なソフトウェアアルゴリズムを用いていたという。このため、攻撃者がオフラインで秘密鍵を計算し、資金流出を自動化できたとされる。

被害の拡大を受け、市場ではColdcard単体の問題にとどまらず、セルフカストディ基盤そのものへの懸念も広がっている。バルチュナス氏はX(旧Twitter)で、Coinkiteの事業規模にも言及した。

同氏はPitchBookとLinkedInのデータを引用し、Coinkiteの従業員数は約5人にすぎないと指摘した上で、「これほど重要な役割を担う企業としては小さすぎる」との認識を示した。

さらに、「生涯かけて築いた資産を預ける銀行の従業員が5人しかいないとしたら利用するだろうか」と問いかけ、「暗号資産業界では珍しくないのかもしれないが、自分には明確な警告サインに見える」と述べた。

バルチュナス氏は、大きな資産を守るという観点では、CoinbaseやLedgerのような大手事業者が持つセキュリティインフラの方が現実的だとの見方も示した。手数料が高くても、セキュリティ管理の体制や規模を考えれば受け入れられる余地があるとした。

その上で同氏は、ビットコイン現物ETFを有力な選択肢として挙げた。ETFは規制下の機関投資家向けカストディ体制に基づいて運用されるため、投資家がソフトウェア不具合など技術的な失敗リスクを直接負う必要が小さくなると説明した。

特に、ビットコイン価格へのエクスポージャーだけを求める長期投資家にとっては、今回のColdcard問題を受けてETFの魅力が相対的に高まる可能性があるという。

一方で、同氏はETFの弱点も明確だと指摘した。ビットコインを実際の決済手段として使いたい場合、ETFは適した選択肢ではないという。ETFではビットコインを24時間いつでも直接引き出して使うことができないためだ。

今回の事案は、ビットコインを自ら保管する方式と、機関型商品を通じて間接的に投資する方式の違いを改めて浮き彫りにした。セルフカストディは資産の管理権を投資家自身が持てる半面、技術的な欠陥や運用上のリスクも引き受ける必要がある。

これに対し現物ETFは、利便性では制約があるものの、規制されたカストディ体制によって保管リスクの低減を重視した仕組みといえる。Coldcard問題の余波が、個別ウォレットの事故にとどまらず、ビットコインの保有手段を見直す動きにつながるかどうかが今後の焦点となりそうだ。

キーワード

#ビットコイン #現物ETF #Coldcard #Coinkite Inc. #Bloomberg #セルフカストディ #Coinbase #Ledger
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.