クレイグ・ライト氏が、ビットコインのプロトコルは恒久的に固定されるべきだと改めて主張した。開発者主導のアップグレードに反対するとともに、「デジタルゴールド」や「価値保存手段」といった市場で広がる投資ストーリーにも異論を唱えた。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが2日(現地時間)に報じた。ライト氏は、ビットコインのガバナンスのあり方と投資を巡る市場の見方の両面に問題があるとの認識を示し、「プロトコルは誰かが書き換えてよいものではなく、固定されたルールだ」と述べた。
そのうえで、「開発者、マイナー、取引所、財団、企業のいずれであっても、自らの利益のためにルールを変更すべきではない」と主張した。イノベーションは基本プロトコルではなく、アプリケーション層で起きるべきだとも訴えた。
固定されたプロトコルは、企業にとって予見可能な事業環境をもたらすとも強調した。ソフトウェア更新によって既存投資の価値が損なわれたり、ネットワークの基本動作が変わったりする懸念を抱かずに、サービス開発や競争ができるべきだと説明した。
ライト氏は、ビットコインが「非中央集権」であるとの見方にも疑問を呈した。支持者はネットワークの分散性を強調する一方、実際には少数の開発者グループの判断に依存していると指摘した。
取引処理容量を制限したり、合意ルールを変更して異論を封じたりするような手法は、ビットコイン本来の設計思想と整合しないとの見解も示した。「ビットコインは、特定の個人や委員会を信頼しなくても成り立つよう設計されたシステムであり、非中央集権とは誰もプロトコルを変更できないことによって担保される」と強調した。
投資面についても、現在のビットコインを巡る市場の見方は誇張されていると批判した。ビットコインの訴求は「電子マネー」から「デジタルゴールド」、さらに「価値保存手段」へと変化し、最近では「世代を超えた資産形成」の手段にまで広がっているが、現実の経済合理性とは距離があるとした。
時価総額がすでに1兆ドル(約150兆円)を超える資産が、初期と同じような爆発的リターンを再びもたらすのは難しいとの見方も示した。時価総額はそのまま換金可能な富を意味するわけではなく、大規模な売りが出れば価格は急落せざるを得ないとして、すべての投資家が表示上の評価額どおりに資産を処分できるわけではないと付け加えた。
今回の発言は、ビットコインの技術的な運用原則と、市場で流通する投資ストーリーの双方を批判した点で注目される。一方で、ライト氏はこれまでサトシ・ナカモトを名乗ってきたものの、関連証拠を巡る法的紛争では敗訴が続いており、その主張の信頼性は広く認められていない。それでも、ビットコインのプロトコル不変性やガバナンスを巡る論争は、暗号資産業界の主要な論点であり続けている。
ライト氏はあわせて、「多くの人は、ビットコインは固定されたプロトコルを持つオープンなシステムであるべきで、誰もが許可なく取引し、構築し、競争し、支払いを受け取れるべきだと私が主張したことで、私を詐欺師と呼んだ」とも述べた。