Striveは大口保有者に機関カストディの活用を提起した(写真=Strive X)

Coldcardのハードウェアウォレットの脆弱性を悪用した攻撃で約1082BTCが流出したことを受け、Bitcoin保有企業のStriveが大口保有者に対し、機関カストディの活用を選択肢として提起した。被害額は約7000万ドルに達すると推計されている。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、バーネットは1日(現地時間)、この1週間について「Bitcoinの歴史でも最悪の週の一つだった可能性がある」との見方を示した。

今回の事件で注目を集めたのは、利用者の単純な操作ミスではなく、保管設計そのものの弱点が問題になった点だ。攻撃者はシード生成過程の弱い乱数を突いて資金を引き出したとされる。

問題の脆弱性はColdcard 4.0.0で確認された。同バージョンは2021年3月1日のコードコミットを基にリリースされ、その後、開発元のCoinkiteが4.2.1で修正した。

バーネットは、被害者が正規デバイスを購入し、オフラインでシードを生成するなど、推奨された手順に従っていたにもかかわらず資産を失ったと指摘した。そのうえで、単一の障害点に依存する自己カストディは十分に安全とは言えず、複数の経路から破綻し得ると主張した。

つまり、問題は一部利用者の不注意ではなく、設計と運用の構造に内在するリスクにあるという見立てだ。

この事件を受け、自己カストディと分散保管を巡る議論も広がっている。Binance創業者のチャンポン・ジャオ(CZ)氏は「100%安全なものはない」と述べ、資産を複数のウォレットに分散して保管するよう呼びかけた。

ハードウェアウォレット1台に資産を集中させる方法は、絶対的な解決策ではないとの認識が改めて浮き彫りになった格好だ。

市場では価格よりも投資家心理の悪化が先に表れた。Bitcoin価格は先週末に6万3000ドル前後で大きな変動なく推移した一方、オンチェーン分析企業のSantimentは、Bitcoinを巡るSNS上のセンチメントが過去で最も悲観的な水準に達したと集計した。

個人鍵を直接管理する方式であっても破綻し得るとの懸念が、投資家心理に反映されたとみられる。

もっとも、Striveが示した機関カストディも万能ではない。資産を外部機関に預ければ個人鍵の管理負担は軽減できるが、その一方で受託会社の運用体制や内部統制、ハッキングへの対応力に依存することになる。

つまり、保管リスクが消えるのではなく、個人のデバイスやシード管理から、受託機関のシステム管理へとリスクの所在が移るにすぎない。

このため大口保有者にとっては、単一の方式に依存せず、複数の保管手段を組み合わせる戦略が現実的な代替案となる。資産を複数のウォレットや受託機関に分散し、多重署名や出金承認プロセスを組み合わせれば、特定のデバイスやシードが突破された場合でも、全資産が一括で流出するリスクを抑えやすい。

今回の論争は、Bitcoinの保管が自己カストディか機関カストディかという二者択一ではないことを示している。保有規模や取引頻度、内部管理能力によって適切な保管体制は変わり得るうえ、特に大規模な資産ほど、技術的な安全性と運用面の統制を両立させることが重要だとの指摘が出ている。

こうした保管体制の見直しは、今後のBitcoin市場に対する信頼感や、機関投資家マネーの流入にも影響を与える可能性がある。

バーネットは「多くの人は、できることのほぼ全てを正しく実践したと信じていた。評判の高いハードウェアウォレットを購入し、シードをオフラインで生成し、確立されたベストプラクティスに従っていた。それでも多額の資産を失った」と述べた。

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