米上院で、暗号資産の市場構造法案「Clarity Act」を本会議審議に進めるための手続き採決が今週は行われない見通しとなった。上院指導部がロシア・イラン制裁法案を優先しており、8月の休会前に審議入りできるかどうかは不透明な情勢だ。
29日CoinPostによると、上院共和党指導部が今週中にClarity Actの討論終結(クロージャー)採決を進める可能性は低下している。
暗号資産政策を担当する記者エレノア・テレット氏はX(旧Twitter)への投稿で、ジョン・チューン上院院内総務が今週中にClarity Actの採決を実施するのは難しくなったと伝えた。上院手続き上、30日に採決するには28日までに審議開始動議に対する討論終結を申し立てる必要があるが、指導部はロシア・イラン制裁法案を優先しているという。
このため、上院内外の関心は来週以降の対応に移っている。業界では、8月休会前までに少なくとも本会議審議入りに向けた討論終結手続きに着手すべきだとの見方が出ている。今週の採決が見送られれば、本会議での審議開始が9月以降にずれ込む可能性もある。
背景には、上院特有の議事運営がある。討論終結が可決された案件は議事日程上の優先度が高まり、複数の重要法案を同時並行で本会議審議に進めにくい。このため、ある法案を優先すれば、別の法案の日程は後ろ倒しになりやすい。
現時点でClarity Actより優先度が高いとみられているのは、ロシア・イラン制裁法案だ。同法案には、ロシアのウクライナ侵攻を支援する個人や金融機関への制裁に加え、ロシア産エネルギーの大規模購入や制裁逃れを支援した国に関税を課せる内容が盛り込まれている。さらに、イランのエネルギー・武器部門に対する制裁権限の延長条項も含む。
同法案には共和、民主両党の上院議員60人超が共同提案者に名を連ねている。このため、討論終結に必要な60票の確保も視野に入っているとの見方が出ている。休会前の限られた会期で処理法案の優先順位を調整するなか、Clarity Actは本会議日程の争いで相対的に不利な立場に置かれている。
Clarity Actが本会議に上程されるまでには、なお複数の手続きが残る。まず、チューン院内総務が法案審議開始の動議を提出し、討論終結採決で60票を確保する必要がある。可決されれば本会議での審議と修正案提出が可能になるが、その後、法案自体の討論を終結させるために改めて60票が必要になる場合がある。最終採決は単純過半数で可決できる。
上院共和党は本会議審議入りを急いでいるものの、最初の討論終結採決で60票を確保できるかが最大の焦点となる。Clarity Actの行方は法案内容だけでなく、上院の日程運営や複雑な手続き、他法案との優先順位にも左右されそうだ。