移動・操作・推論・制御を単一フレームワークに統合したAmapの「ABot」(写真=Amap)

Alibaba Group Holding傘下で地図サービスを手がけるAmapは、ロボットの移動、操作、推論、制御を単一の体系にまとめたAIフレームワーク「ABot」の新版を公開した。個別機能ごとに性能を高める従来型の開発から、統合プラットフォーム型のロボットAIへ軸足を移す動きが、中国ビッグテックの間で広がっている。

香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は23日付で、こうした動きを報じた。AmapはABotを、ロボットの足や手、脳、神経系に相当する機能を1つのシステムでつなぐ統合AIフレームワークと位置付けている。

今回の発表は、AIを現実世界で動くロボットに実装する「エンボディドAI」の開発競争が本格化する中で打ち出された。

Amapによると、これまでロボットAIは移動、操作、推論といった個別機能の高度化が中心だった一方、各モデルは独立して動作し、データ共有や連携に限界があった。ABotではこうした課題を解消するため、5つの基盤モデルを1つのフレームワークに統合したという。

ABotは、自律移動を担う「ABot-N1」、移動と操作を同時に処理する「ABot-M0.5」、推論を担う「ABot-ER」、システム制御を担う「ABot-AgentOS」、実機の動作実行を担う「ABot-C0」で構成される。各モデルが足、手、脳、神経系に相当する役割を分担しながら、全体として協調動作する設計だ。

このうちABot-N1は、汎用カメラと基本的な道路網情報だけで都市規模の自律ナビゲーションを行えるよう開発したという。Amapは、高精度地図を別途用意しなくても、屋外環境で92.9%の成功率を記録したとしている。

ABot-M0.5は移動機能と操作機能を統合し、移動しながら物体をつかむといった同時実行を可能にした。ABot-ERとABot-AgentOSは、作業計画や推論、ロボットの形態に応じた動作適応を担う。ABot-C0は、AIの判断を実際の動きへ変換する役割を持つ。

Amapは、ABotが世界17件のロボット関連ベンチマークで最高水準の性能を記録したと説明している。ただ、評価項目や比較対象の詳細は明らかにしていない。

中国ビッグテックによるエンボディドAI開発競争も激しさを増している。Tencentは最近、上海で開かれた世界人工知能大会(WAIC)で、ロボットの認知と推論を支援するビジョン・言語・行動(VLA)モデル「Hy-Embodied」を中核に据えたフルスタックのエンボディドAIプラットフォームを公開した。Ant GroupのロボットAI組織Roboventも今月初め、ガラスや鏡、透明物体をより高精度に認識する空間認識モデル「Lingbot-Depth 2.0」を発表している。

Amapも足元でエンボディドAI分野への投資を拡大しており、現実世界を仮想空間上で再現してロボットを学習させる「ワールドモデル」の研究を強化している。

市場では、今回のABot公開を、単なる機能追加ではなく、Alibabaがロボット向けAIプラットフォーム競争に本格参入したことを示す動きとみる向きがある。今後の焦点は、移動・操作・推論を束ねたABotが、実際の産業現場やサービス環境でも安定して稼働できるかどうかに移る。

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