ドイツの小売市場でDDR5メモリ価格が再び上昇し、過去最高水準に達した。TSMCによる半導体生産コストの引き上げ観測も浮上しており、来年のPC部品や完成品の価格上昇を警戒する見方が広がっている。
TechRadarが現地時間7月22日に報じたところによると、ドイツ市場のDDR5価格は、メモリ価格の急騰前と比べて448%水準まで上昇し、年初来の最高値を更新した。
ドイツの市場調査会社3Dcenterの集計では、DDR5価格は年初に440%水準だったが、3月には408%まで低下した。4月も同水準で推移したものの、6月に419%へ持ち直し、7月には448%まで急伸した。3Dcenterによれば、これはドイツ市場で過去最高の水準という。
こうした値動きがドイツ固有の現象と断定するのは難しい。市場では、下期にも追加の値上げが続き、来年は状況がさらに悪化する可能性があるとの見方が出ており、TechRadarはドイツ市場の動きがその観測を裏付けていると伝えた。
懸念材料はメモリ価格だけではない。TSMCが来年、チップの生産コストを最大10%引き上げるとの観測も出ている。背景には、材料費や半導体製造装置の価格上昇に加え、新規生産施設の拡張に伴う資金負担があるとされる。
さらに、高性能計算(HPC)向け半導体については、既存契約分に上乗せして追加発注する場合、値上げ幅が一段と大きくなる可能性がある。こうした追加注文には、最大15%の値上げが適用される可能性があるとの見方も示された。
もっとも、実施時期は固まっていない。2027年から適用される可能性があるとも報じられている。TechRadarは、これらの内容を公式発表ではなく関係筋の話として伝えている。一方で、追加のチップ値上げは十分あり得るとの見方も併せて示した。
TSMCの値上げが実施されれば、影響はメモリにとどまらない。TSMCから半導体供給を受けるメーカーがコスト増を製品価格に転嫁する可能性が高く、プロセッサ単体だけでなく、CPUを搭載する機器全般の価格が来年さらに上昇するとの懸念が強まる。TSMCの主要顧客にはApple、NVIDIA、AMD、Qualcommが含まれる。
市場では、メモリ需給の逼迫が短期的には解消しにくいとの見方も広がっている。NVIDIAの最高経営責任者(CEO)、ジェンスン・フアン氏が、RAM危機が2030年ごろまで続く可能性に言及したことも、こうした見方を後押ししている。これを受け、PCやノートPCなどハードウェアの購入を前倒しする動きが出る可能性も指摘された。
今後の焦点は2点ある。メモリ価格の急騰がドイツ以外の地域にも広がるかどうか、そしてTSMCの生産コスト引き上げが実際に実施されるかどうかだ。両方が重なれば、来年のPC部品と完成品の価格全般に追加的な負担が生じる可能性がある。