米上院で審議が進む暗号資産市場構造法案「CLARITY法案」を巡り、民主党の上院議員7人が現行案への反対を表明した。暗号資産に比較的前向きとみられてきた議員も反対に回っており、年内成立の行方は不透明感を増している。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが23日(現地時間)に報じたところによると、7人の議員は共同声明で、現行の法案は選挙で選ばれた公職者の倫理、消費者保護、不正資金対策、利益相反、市場の健全性といった重要論点を十分に盛り込んでいないと批判した。
声明に名を連ねたのは、アンジェラ・オルソブルックス、コリー・ブッカー、キャサリン・コルテズ・マスト、ルーベン・ガジェゴ、ジョン・ヒッケンルーパー、マーク・ワーナー、ラファエル・ワーノックの各上院議員。これを受けて共和党は同日、倫理条項の見直しに加え、2029年に失効するサンセット条項、ステーブルコイン関連規定、ブロックチェーン規制の明確化、法執行に関する内容を盛り込んだ修正案を公表した。
最大の争点は、公職者に関する倫理規定だ。民主党側は、該当条項が時限措置にとどまるうえ、執行権限が司法省に集中しており、実効性に乏しいと主張している。ルーベン・ガジェゴ議員は、最近公表されたトランプ氏関連の倫理条項について「非常に弱い」と評価。アンジェラ・オルソブルックス議員も、交渉過程で示された司法省による単独執行案を「真剣味に欠ける提案だ」と批判していた。
今回の反対が注目を集めるのは、暗号資産政策に理解を示してきた民主党議員まで反対に転じたためだ。ガジェゴ議員とオルソブルックス議員は、5月に上院銀行委員会で法案を本会議に送る際、賛成に回っていた議員だった。両氏の離反により、共和党は本会議可決に必要な60票の確保に向け、追加の民主党支持を取り付ける必要に迫られている。
民主党側は、ドナルド・トランプ大統領の暗号資産関連事業を巡る利益相反の問題も、法案に十分反映されていないと指摘している。トランプ氏は暗号資産関連事業で約14億ドル(約2100億円)の収益を得たとされ、このうち約6億3600万ドル(約954億円)が自身のミームコインに関連すると報じられた。
一方、共和党は法案成立に向けた手続きを進める構えを崩していない。ジョン・スーン上院共和党院内総務の陣営は、数日以内に採決手続きに入る計画だと明らかにした。ただ、約2週間後に始まる8月の議会休会前に処理できなければ、審議が2027年に持ち越される可能性が強まる。
議会の外では、法案成立の可能性を低くみる声も出ている。米商品先物取引委員会(CFTC)前委員長のJ・クリストファー・ジャンカルロ氏は、CLARITY法案の成立確率は50%を下回るとの見方を示した。その一方で、米証券取引委員会(SEC)とCFTCが準備を進める規制の枠組みだけでも、市場のイノベーションは維持され得ると評価した。
現在は、SECとCFTCが整備してきたガイダンスが、実質的な規制の拠り所になっている。SECは「Regulation Crypto」の導入準備を進めており、CFTCもデジタル資産に関する監督権限を拡大している。
共和党内には、修正後の倫理条項で十分だとする反論もある。シンシア・ルーミス上院議員は新たな合意案への支持を表明し、大統領を含むすべての連邦公職者による、営利目的のデジタル資産の発行や支援を禁じる内容が盛り込まれたと強調した。
市場も法案成立の可能性を高くはみていない。予測市場Polymarketでは、「2026年内にCLARITY法案が署名される」との契約の確率は22日時点で39%だった。2月に75%を上回っていた水準から大きく低下している。
上院での議論は今後、倫理条項をどこまで修正するかを軸に再び割れる公算が大きい。法案そのものの方向性よりも、公職者の利益相反と執行体制をどう設計するかが、年内成立を左右する最大の変数になっている。