予測市場のPolymarketとKalshiで、個人トレーダーが稼ぎやすかった局面が急速に縮小している。機関投資家やマーケットメイカー、クオンツ運用会社、資本支援を受けるトレーディング企業、AIエージェントの参入が進み、価格発見を巡る競争が一段と激しくなっているためだ。
ブロックチェーンメディアのCryptoSlateが22日付で報じた。直近の注目材料は、米連邦準備制度理事会(FRB)の政策金利決定だ。FRBは28〜29日に会合を開く。
ロイターが21日にエコノミスト104人を対象に実施した調査では、全員が政策金利の据え置きを予想した。レンジは3.50%〜3.75%。Kalshiの7月契約でも、据え置き確率は87%まで織り込まれており、残る13%の不確実性をどう値付けするかが取引機会になっている。
この領域では、マーケットメイカーやクオンツ運用会社、資本支援を受けるトレーディング企業、AIエージェントがしのぎを削る。各参加者は価格をリアルタイムで追跡し、関連契約との価格差を比較しながら、確率を継続的に調整している。
機関投資家はイベント型契約への参入を進め、ブローカーは機関顧客と流動性供給者を仲介している。資本支援を受けるトレーディング企業は、すでに精算された契約データを基に、市場よりも不確実性を正確に価格へ反映できるアルゴリズムトレーダーの見極めを始めた。
オンチェーンの資本支援型トレーディング企業Proprの創業者、ルイ・レジスは、イベント型契約について、一般的な金融市場よりもトレーダーの実力を見極めやすいと評価する。契約が明確な結果に基づいて精算されるため、市場よりも正確に確率を織り込んだ参加者が比較的判別しやすいという。
もっとも、トレーダーの実力を統計的に立証するには相応のサンプル数が必要になる。Foresight Arenaのベンチマークでは、市場を2ポイント上回る真の優位性を確認するには、約350件の二値予測が必要と推計した。
AIの予測能力も、現時点では安定収益に直結していない。1月12日から3月9日にかけ、最新AIモデル6種類にそれぞれ1万ドル(約150万円)を割り当てて自律取引を行わせた実験では、Kalshiで16%〜30.8%の損失を計上した。Polymarketでも平均収益率はマイナス1.1%だった。
今後の焦点は、FRBの発表内容そのものより、想定外の展開や主要指標公表直後の値動きに移りつつある。米商務省経済分析局(BEA)は30日に国内総生産(GDP)速報値を公表し、8月7日には7月の雇用統計が発表される。
新たな指標が出るたびに契約価格は再調整される。サプライズをいち早く織り込むか、出遅れた価格を最も速く修正できるかが、取引の主導権を左右する構図だ。
今回の動きは、予測市場が個人中心の実験的な段階を越え、専門的な流動性供給と自動売買が競い合う市場へ移行しつつあることを示している。ただ、AIエージェントの存在だけで収益性が保証されるわけではない。不確実性をどれだけ速く、正確に価格へ反映できるかが引き続き鍵を握る。