暗号資産産業の雇用規模を、賃金水準や波及雇用まで含めて分析した報告書(写真=Shutterstock)

米国の暗号資産産業が、2026年に550億ドル(約8兆2500億円)の経済効果をもたらすとの試算が示された。直接雇用は3万4000人と限定的だが、間接・誘発効果を含めると23万2000人分の雇用を支えるとしている。

22日付のBitcoin Magazineによると、米国国家暗号資産協会(NCA)とPragmatic Policy Groupが公表した報告書「Crypto at Work」は、暗号資産産業の雇用規模と経済波及効果を分析した。

報告書によれば、暗号資産業界の平均年収は13万3000ドル(約1995万円)で、米国の賃金中央値である6万4000ドル(約960万円)を大きく上回った。技術業界や製造業の平均賃金よりも高い水準だという。

また、暗号資産産業はテック分野の枠を超えて雇用を生み出しており、主要な製造業と比べても大きな直接雇用を支えているとした。

雇用の波及効果も大きい。Pragmatic Policy Groupは産業連関モデルを用い、暗号資産産業の直接雇用1人が、サプライヤー取引や消費支出を通じて、経済全体で追加的に約6人分の雇用を下支えすると試算した。

その結果、直接雇用に間接・誘発雇用を加えた雇用規模は、計23万2000人分に達すると推計した。

一方で、絶対的な雇用規模でみれば、暗号資産産業はなお小規模にとどまる。報告書は直接雇用3万4000人を、コーヒー・茶製造業の2万8400人、たばこ製造業の1万600人と比較した。

雇用は地域的な偏りも大きい。カリフォルニア、ニューヨーク、テキサスの3州で、暗号資産関連雇用の60%を占めた。

州別の波及雇用は、カリフォルニアが5万7600人分、ニューヨークが5万3800人分、テキサスが2万6500人分だった。一方、アイオワ、カンザス、ネブラスカ、ダコタ地域など米中部の州では、合計でも1万7000人分をやや上回る水準にとどまった。

報告書は、新たな拠点としてコロラド州とノースダコタ州も挙げた。コロラド州については、暗号資産に友好的な税制に加え、Riot PlatformsやCrusoe Energyの成長を背景として指摘した。

ノースダコタ州では、フレアガスを活用したマイニング事業と、州立のノースダコタ銀行によるステーブルコイン実証事業が特徴として示された。

今回の調査は、2024年の米国経済分析局(BEA)と米国労働統計局(BLS)のデータに基づいている。Pragmatic Policy Groupは、暗号資産が労働市場に与える影響を経済全体で包括的に捉えた初の試みだと説明した。

もっとも、暗号資産専用の労働分類体系はまだ整備されていない。このため報告書は、金融業ではなく、より広い技術職の職務構成を基準に関連金融活動をモデル化したとして、分析上の制約も認めた。

研究費を拠出したNCAは、政策立案者が同産業の経済的な寄与をエビデンスに基づいて把握するうえで、今回の結果が参考になることを期待するとした。同団体は2025年に発足し、米国内で安全かつ十分な情報に基づく暗号資産の導入拡大を目標に掲げている。

報告書は、暗号資産産業を単純な雇用者数だけで測るのではなく、賃金水準や雇用波及効果、地域ごとの産業基盤まで含めて評価する必要性を示した。同時に、産業分類の未整備という課題も浮き彫りになっている。

キーワード

#暗号資産 #米国 #雇用 #経済効果 #雇用波及効果
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.