ドナルド・トランプ米大統領(写真=米ホワイトハウス)

ドナルド・トランプ米大統領が、暗号資産規制法案「クラリティ法」に盛り込まれる倫理条項を受け入れた。上院審議の最大懸案の1つだった公職者の利益相反規制が前進し、法案は本会議採決に向けて一歩進んだ。

21日付のCoinPostによると、この条項を巡る協議は数カ月にわたって続いており、法案成立に向けた最後の大きな障害とみられていた。

クラリティ法は、米暗号資産業界に対する包括的な規制枠組みを定める法案。証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の所管を明確にすることが柱となっている。一方、上院では法案本体の内容に加え、公職者による暗号資産を巡る利益相反をどう制限するかが大きな争点となっていた。

今回トランプ氏が受け入れた倫理条項は、大統領、副大統領、連邦議会議員などの連邦公職者を対象に、在任中の暗号資産取引や利益取得を制限する内容。交渉の行方は、上院での法案処理を左右する重要要素と位置付けられていた。

論争の中心には、トランプ氏本人が関与するミームコインと、トランプ一族が設立したWorld Liberty Financial(WLF)があった。先月公表された財務開示では、トランプ氏がWLF関連で数百万ドル規模の収入を得ていたことが明らかになり、倫理条項の必要性を求める声が強まっていた。

この条項は7月16日、トランプ氏、バーニー・モレノ上院議員、シンシア・ルミス上院議員、ホワイトハウスの暗号資産政策顧問パトリック・ウィトが出席した会合で協議されたが、その時点では合意に至らなかった。その後、20日にトランプ氏の承認を得て、協議は再び進展したという。

法案の条文は早ければ20日夜にも公表されるとの見方が出ていたが、公表時期がさらにずれ込む可能性もある。関係者の間では、条文公表後に上院本会議での採決に進むとの見方が強い。条文公表まで一定の時間を確保できれば、超党派合意の形成にプラスに働くとの指摘もある。

市場で目立った価格反応は出ていないものの、今回の合意は規制の不確実性を和らげる材料と受け止められている。クラリティ法は、米国で初めて暗号資産産業を包括的に規制する枠組みとして注目されており、上院採決の前進自体が業界にとって重要なシグナルとなり得る。

今後の焦点は審議日程だ。上院に残された審議期間は8月第1週までとされており、法案処理の期限は迫っている。条文公表と採決日程の確定が遅れれば立法作業のスピードに影響する可能性がある一方、公表前の調整期間が長引けば、超党派合意の余地が広がるとの見方もある。

上院を通過すれば、法案は再び下院に送られる。その後、トランプ氏の署名を経て成立する見通しだ。予測市場では年内成立の可能性が足元で30%台まで低下していたが、今回の倫理条項を巡る合意により、上院段階の主要な不確実性は一部後退した。次の注目点は、条文の公表時期、上院本会議の採決日程、そして下院での再議決に向けた政治日程の調整となる。

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