写真=CXMT

Appleが中国メモリメーカーCXMT製品の採用を検討している。メモリ需給の逼迫が長期化するなかで、調達先の多様化を急ぐ動きとみられる。米輸出規制のリスクを避けるため、Appleは米商務省に対し、CXMTをエンティティリストに追加しないよう事前の確約も求めているという。

21日付のITmediaによると、AppleはCXMTのメモリ製品を評価している。CXMTが米国の輸出規制対象に指定されれば、同社製メモリを搭載したApple製品の販売や輸出にも影響が及ぶ可能性がある。このためAppleは、規制リスクをあらかじめ見極めたうえで、採用の可否を判断しようとしているとみられる。

エンティティリストは、米政府が国家安全保障や外交政策上の懸念があると判断した海外企業や機関を指定する輸出管理リストだ。CXMTが掲載されれば、Appleにとっては部材調達だけでなく製品展開にも制約が生じかねない。

今回の動きは、単なる調達先拡大にとどまらない。メモリ市場の供給不足が想定以上に長引いていることを示す動きとの見方も出ている。Appleは6月に製品価格を引き上げており、Tim Cook CEOも当時、メモリ業界のコスト上昇が消費者価格に反映されていると言及した。急激な原価上昇の吸収には限界があり、値上げ圧力が強まっていることをにじませた格好だ。

部材コストの上昇も鮮明だ。市場調査会社TechInsightsは、2025年モデルのiPhone 17に搭載されるメモリとNANDフラッシュのコストが約52ドル(約7800円)だったのに対し、次世代のiPhone 18では12GB DRAMと256GBストレージを前提に約196ドル(約2万9400円)へ膨らむ可能性があると分析した。メモリとストレージ価格の急騰が、端末価格の押し上げ要因になっていることを示している。

一方、メモリ業界は現在の供給不足の背景として、過去に大口顧客から強い値下げ圧力を受けたことを挙げる。Micronのスミット・サダナ最高事業責任者は先月のインタビューで、2023年に一部顧客の値下げ要求が過度に強硬だったと明らかにした。当時の価格水準では採算が取れず、多くの投資計画が中断に追い込まれたと説明している。

Micronのサンジェイ・メフロトラCEOも先月、2023年のメモリ価格が前年の3分の1の水準まで下落し、各社が通常の設備投資を継続できなかったと指摘した。実際、Micronの2023会計年度の売上高は前年比49%減。内訳はDRAMが51%減、NANDフラッシュが46%減で、平均販売価格もそれぞれ40%台後半、50%台前半の下落率を記録した。Micronは、需要減速と顧客の在庫調整が重なり、市況が急速に悪化したとしている。

足元の供給不足については、AI時代の急拡大するメモリ需要と、過去の投資抑制が同時に作用した結果だとする分析もある。メモリ各社は生産能力拡大に向けた投資を再開しているものの、増産効果が本格的に表れるのは2028年以降になる可能性がある。

こうした環境下でAppleがCXMT製メモリの採用を検討していることは、価格交渉力だけでは解消しにくい供給構造の変化を映す動きといえそうだ。調達先の拡大を急ぐAppleと、収益回復をてこに投資余力を取り戻したいメモリ業界の綱引きは、当面続く見通しだ。

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