退勤後の業務メッセージにどれだけ早く対応するかが、昇進率と相関している――。英国でこうした調査結果が明らかになり、「退勤後に連絡しない権利(Right to Switch Off)」を巡る議論にもあらためて注目が集まっている。
ITメディアのTechRadarが20日(現地時間)に報じたところによると、英国のキャリア転換支援企業Careerminds UKの調査では、夜間の業務メッセージに即答した回答者の70.8%が、過去2年以内に昇進していた。
返信のタイミング別にみると、勤務時間外のメッセージに即答した層の昇進率は70.8%、1時間以内に返信した層は68.2%、翌朝に返信した層は55.1%だった。勤務時間外の連絡への対応の速さによって、昇進率に差が出る傾向が示された。
世代別では差がさらに大きかった。ミレニアル世代では、勤務時間外のメッセージに素早く対応した場合の昇進率が86.0%に達した。一方、X世代(44~59歳)は47.2%にとどまり、Z世代は81.2%だった。
ただし、この傾向がすべての役職層で同じように表れたわけではない。初級社員や取締役級では目立った優位性は確認されず、組織内では中間管理職層でより顕著だった。
男女差も確認された。過去2年で素早く応答した層のうち、昇進した人の割合は男性が79.0%、女性が60.8%だった。応答速度と昇進の相関がみられても、実際の結果には性別による差があったことを示している。
この調査結果が関心を集めている背景には、英国政府が進めてきた「退勤後に連絡しない権利」を巡る議論の停滞がある。同制度は雇用権利法案に盛り込まれる職場改革案として推進され、労働組合や従業員に加え、一部の企業幹部からも支持を得ていた。
しかし、法案公表時には該当条項が削除され、制度化は次の段階に持ち越された。その後は、政府内からこの政策が事実上撤回されたことを示唆する動きも出ているという。
Sunday Timesによると、政府関係者は「この政策は廃棄された」と述べ、撤回手続きに入ったとの報道も出た。政府は、企業の経済的負担や過剰な規制を抑え、英国をビジネスに適した国にする必要があるとの立場を示している。
英国に先立って同様の制度を導入した国もある。アイルランドは2021年から、勤務時間外の業務メッセージを無視できる類似規定を運用しており、フランスでも2017年に同様の制度が導入された。
今後、新政権が労働政策の優先順位をどう見直すかによって、棚上げ状態にある「退勤後に連絡しない権利」の議論が再び動き出すかが焦点となりそうだ。