価格ではなく製造効率やエネルギー性能を重視する政策転換として注目される。写真=Shutterstock

中国が、太陽光産業のサプライチェーン全体を対象に国家エネルギー効率基準を義務化する。施行は2027年1月1日。ポリシリコンからウエハー、結晶シリコン太陽光モジュール、系統連系型インバーターまでを網羅し、過剰設備の抑制と、価格競争に偏った市場構造の見直しを進める方針だ。

TechRadarが12日付で報じたところによると、中国は太陽光製造業全般に新たな国家エネルギー効率基準を導入する。対象はポリシリコン、ウエハー、結晶シリコン太陽光モジュール、系統連系型インバーターなど。今回導入される国家標準は、GB 29447-2026、GB 47835-2026、GB 47834-2026の3規格となる。

これまで推奨基準にとどまっていた生産効率基準を義務化することで、生産や調達、輸入に加え、再生可能エネルギープロジェクトの機器選定にも影響が及ぶ見通しだ。

まず、GB 29447-2026では、ポリシリコンとゲルマニウムの生産工程におけるエネルギー消費基準を引き上げる。電力消費の大きい従来型ポリシリコン工場は影響を受ける可能性が高く、業界では、熱回収システムや水素のリサイクル、工程最適化などによる基準適合が求められるとみられている。

ウエハー製造にはGB 47835-2026を適用する。同基準は単結晶シリコンの生産効率向上に重点を置く。老朽化したインゴット成長装置や、エネルギー効率の低いウエハー生産ラインでは負担が増す一方、連続結晶成長技術、熱管理の改善、薄型ウエハー製造技術の重要性は一段と高まりそうだ。

最終製品であるモジュールとインバーターにも新基準を設ける。GB 47834-2026では、結晶シリコン太陽光モジュールと系統連系型インバーターのエネルギー効率基準を新設。太陽光モジュールには3段階の効率等級を導入し、1等級を最高効率と位置付けた。

最低基準となる3等級では、TOPConとHJTモジュールに約23.2%、BC(Back Contact)構造に約23.5%以上の変換効率を求める。加えて、環境ストレス試験や両面発電性能に関する基準も新たに盛り込んだ。

今回の措置は、中国の太陽光産業が直面する供給過剰への対応策と受け止められている。中国の太陽光業界ではこの2年余り、供給能力が需要を大きく上回る状況が続き、企業間の値下げ競争が激化してきた。

TechRadarは、新基準が業界を「終わりなき値下げ競争」から、生産効率と技術力を競う構造へ転換させる契機になり得ると評価した。特に、既存のPERCモジュール生産ラインや初期のTOPCon設備、エネルギー集約度の高いポリシリコン工場は影響が大きい可能性があるとしている。

一方、最新の省電力型生産設備を導入している企業は、相対的に新基準を満たしやすいとみられる。

太陽光発電プロジェクトの機器選定にも変化が及ぶ可能性がある。政府支援を受ける入札で強化後の効率基準が適用されれば、国有電力会社や公的な再生可能エネルギー事業では、高効率製品を優先採用する公算が大きい。

こうした動きは、メーカーの生産戦略だけでなく、プロジェクト側の調達基準にも影響するとみられる。短期的には、生産設備の更新や工場改修、老朽ラインの閉鎖に伴うコスト負担が増す見通しだ。

もっとも、中国政府はこれまでも大規模増設と低価格競争で拡大してきた太陽光産業を、省エネと高効率を軸とする構造へ転換する姿勢を明確にしている。

業界では今後、中国の太陽光市場における競争力は単純な生産規模ではなく、新たなエネルギー効率基準にどれだけ迅速に適応できるかに左右されるとの見方が出ている。

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