デジタル国債の発行にとどまらず、取引・決済や担保活用まで含めた市場基盤の整備が今回のロードマップの焦点だ。写真=Shutterstock

英国政府が、トークン化金融市場の整備を本格化する。2027年の初回デジタル国債発行を目標に、債券の発行から取引、決済、担保活用までを一体で支える市場インフラの構築を急ぐ。英国がこの分野で世界の先行国として地位を確立できれば、2035年までに年最大330億ポンドの経済効果を生み出せるとの試算も示された。

暗号資産メディアのCointelegraphが13日付で報じたところによると、英国財務省がデジタル市場戦略の推進役として任命したクリス・ウラード氏は、初の報告書で2027年1〜3月期のデジタル国債(Gilt)発行を柱に据え、トークン化金融市場の拡大方針を示した。

報告書は、トークン化を実証段階にとどめず、実際の金融市場インフラとして定着させる必要があると指摘した。その一環として、今後12カ月以内に、有価証券を担保に資金を調達するレポ取引にブロックチェーンを適用する実証を進めるよう提案した。

また、デジタル国債については、発行そのものにとどまらず、取引や決済、担保活用まで含めた仕組みに発展させるべきだと強調した。

報告書は、いま必要なのは「パイロットからスケールへ、構想から実行へ移すこと」だと定義した。トークン化証券が実際に流通せず、担保としても使われなければ市場価値は限られるとして、イングランド銀行がデジタル国債を中央銀行担保として受け入れるべきだと提案している。

さらに、初回発行後も継続的に発行を重ね、実際のセカンダリー市場での売買を活性化する必要があるとした。

英国政府がデジタル国債を打ち出すのは今回が初めてではない。2024年11月にパイロット計画を初めて公表し、2025年7月にはオンチェーン決済や店頭取引(OTC)、セカンダリー市場の整備計画を示した。続く2026年2月には、HSBCのデジタル資産プラットフォーム「Orion」をパイロット支援基盤に選定している。

今回の報告書について市場では、具体的なスケジュールと活用方針が示されたことで、従来計画が一段階前進したとの受け止めが出ている。

市場参加者も、トークン化金融商品の実利用に前向きだ。報告書の作成に関与したRippleは、オンチェーン基盤のファンドや債券、レポ市場はもはや実験段階ではないとし、「既存システムよりも低コストで、より速く、効率的だ」と評価した。トークン化金融市場は、既存の資本市場インフラに代わり得る競争力を備えているとの見方だ。

決済インフラの整備も並行して進む。英国のブロックチェーン決済インフラ企業Fnalityは2025年、中央銀行準備金に連動するポンド建ての卸売決済システムの提供を開始した。同システムは、リアルタイムのレポ取引やトークン化証券の決済、通貨間決済を支援するよう設計されているという。

業界では、こうした決済基盤が整えば、トークン化債券と短期金融市場取引をより迅速かつ効率的に運用できるとの見方が出ている。

今後の焦点は、実際のデジタル国債の発行時期、セカンダリー市場の開設有無、そしてイングランド銀行がトークン化国債を中央銀行担保として認めるかどうかに移る見通しだ。報告書が示した日程どおりに制度整備と市場インフラ構築が進めば、英国のトークン化戦略は実証段階を超え、債券市場と短期金融市場の実取引へ広がる可能性がある。

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