モスクワのプーシキン図書館で、ロシア初とされるヒューマノイドロボットの結婚式を模した公開デモが行われた。登場したのは、ロシア企業IT-Imperialが開発した「ロバート」と「マチルダ」の2体。AIが生成した誓約を読み上げ、指輪の代わりにブレスレットを交換した。法的効力を伴うものではない。
ブロックチェーン関連メディアのCryptopolitanが13日(現地時間)、報じた。今回の催しは、人間と機械の境界を曖昧にすることが目的ではなく、ロシアのヒューマノイドロボット開発力を一般向けに示す技術デモとして企画されたという。
式の演出では、犬型ロボット「ドグマティック」が2体をステージまで運んだ。イベント全体は、婚姻そのものではなく、結婚式の形式を借りた公開パフォーマンスとして実施された。
IT-Imperialは、技術力そのものに加え、実際の活用余地や一般の反応を探る狙いがあったとしている。副代表のアンナ・バグダサリャン氏は、ヒューマノイドの能力を示すとともに、一般の来場者に技術との接点を広げてもらうことが目的だと説明した。
また同氏は、ロボットはオープンプラットフォーム上で動作しており、利用者が独自の動作アルゴリズムを作成できるとも述べた。
イベントの動画や写真はSNS上で急速に拡散した。ロボットが踊ったり来場者とやり取りしたりする場面が注目を集め、教育、エンターテインメント、顧客サービスの各分野で、こうしたロボットがどのように受け入れられるかを巡る関心も高まった。今回の結婚式デモについては、象徴的かつ遊び心のある技術演出として紹介され、法的効力を持たない点も明示された。
こうした公開パフォーマンスは、近年のヒューマノイド業界で広く用いられているプロモーション手法の1つでもある。中国、米国、ロシアの企業や研究者は人型ロボットの開発競争を続けており、商用化の進捗そのものより、デモ映像や公開イベントを通じて技術力を訴求する動きが目立つ。モスクワでの今回の催しも、その流れの中に位置付けられる。
関連する事例では、Unitreeのヒューマノイドロボット「G1」が新疆地域での武術デモ中に子どもを蹴ったほか、別の機体がダンス中に転倒したとされる。TSMCのウェイ・ジャージャ会長は5月、中国のヒューマノイドロボットについて「跳ね回る程度の見せ物だ」との見方を示した。業界アナリストの間でも、多くの機体は依然としてエンターテインメント向けの域を出ていないとの指摘がある。
IT-Imperialは現時点で商用化の時期を明らかにしていない。一方で、「ロバート」と「マチルダ」は経済フォーラムや公共図書館で相次いで披露されており、ヒューマノイドロボットを産業展示にとどめず、一般空間へ広げていく方針がうかがえる。こうしたデモが今後、実際のサービス導入につながるのか、それとも象徴的なプロモーションにとどまるのかが焦点となりそうだ。