ボリビアでUSDTの公式決済制度への組み入れが検討されている。写真=Shutterstock

ボリビア政府は、Tetherのステーブルコイン「USDT」を公式決済制度に組み入れる方向で検討を進めている。米ドルや自国通貨ボリビアノと並ぶ決済手段として承認するかを見極めており、銀行やデジタルウォレット、決済事業者も対象に含める方針だ。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが13日(現地時間)に報じた。報道によると、ホセ・ガブリエル・エスピノサ経済相は最近の記者会見で、USDTをボリビアの決済システムに組み込めるかどうかを評価していると述べた。

現時点でUSDTには、公式な制度上の位置付けや法定通貨としての地位はない。ただ、政府はドルやボリビアノと同様に、USDTを日常決済で利用できる仕組みの整備を視野に入れている。

今回の検討は、すでに現地で広がりつつあるUSDT利用を制度の枠内に取り込む動きとみられる。ボリビアでは現金ドルの不足を背景に、価値保存や輸入決済、送金手段としてUSDTを利用する事例が増えている。現金や従来の金融ネットワークを介さず取引できる点が、普及を後押ししているという。

USDTが公式の決済手段として採用されれば、こうした取引は規制下の金融システムに組み込まれることになる。ボリビア中央銀行が2024年6月に暗号資産取引の禁止を解除して以降、市場規模も急拡大している。

中央銀行のデータによると、暗号資産の取引規模は2024年上半期の4650万ドル(約70億円)から、2025年には2億9400万ドル(約441億円)へ拡大し、630%増加した。さらに今年初めには、ドル固定相場制から変動相場制へ移行した。

政策面でも、デジタル資産の活用に前向きな姿勢が鮮明になっている。昨年11月に就任したロドリゴ・パス・ペレイラ大統領は、銀行システム内でのデジタル資産の役割を拡大する方針を示している。

対象は決済にとどまらない。構想には、デジタルトークンと連動した預金口座や融資も含まれるという。

銀行業界でも関連サービスの導入が進む。国営銀行Banco Uniónは4月、ウォレットサービス「Yasta」で顧客がUSDTを購入できるようにした。Banco FIEも同月、USDTの売買に対応する「Cuenta Cripto(クリプト口座)」を開設した。

自動車販売店でもUSDT決済が広がる兆しがある。Tetherのパオロ・アルドイノ最高経営責任者(CEO)は昨年9月、ボリビア国内のToyota、BYD、Yamahaの販売店が車両販売でUSDT決済の受け付けを始めたと明らかにしていた。

一方、制度化には課題も多い。ボリビアは現在、金融活動作業部会(FATF)のグレーリストに掲載されている。これは、資金洗浄防止(AML)体制の脆弱性を巡る国際的な懸念が残っていることを意味する。

政府がUSDTを公式決済制度に加えるには、こうしたリスクを抑えるための管理体制や安全措置の強化が欠かせない。

加えて、銀行口座を持たない層や、安定したインターネット接続が難しい地域・人口が少なくない点も不確定要因だ。仮にUSDTの制度化が進んでも、決済インフラや金融アクセスの課題をそれだけで解決するのは難しい。今後の制度設計では、こうした実務面の対応が主要な論点になりそうだ。

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