AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」が、ユーザーの指示を処理する前の段階で数万トークンをAIモデルに送っていることが分かった。AIコンサルティング企業Systimaの測定によると、最小構成でも初期入力は約3万2800トークンに上り、実際の開発環境では最大約7万5000トークンに達した。コストだけでなく、コンテキストウィンドウの消費にも影響するという。
この結果は、SystimaがClaude CodeとオープンソースのAIコーディングツール「OpenCode」を比較して明らかにしたもの。GIGAZINEが7月13日、報じた。
測定では、Claude Code 2.1.207とOpenCode 1.17.18を同一のコンピューター環境で、同じAIモデル「Claude Sonnet 4.5」を使って実行した。モデルに渡るデータを中継サーバーで記録し、トークン数を算出した。
最も単純な構成でも差は大きかった。MCP(Model Context Protocol)サーバーとユーザー設定を除いた空の作業環境で、「OKだけを出力せよ」と入力したところ、Claude Codeは初回リクエストで約3万2800トークンをモデルに送信した。OpenCodeは約6900トークンにとどまった。
主な差は、モデルに渡すツール説明の量にあった。Claude Codeはシステムプロンプトとともに27種類のツール説明を送り、この説明部分だけで約2万4000トークンを占めた。OpenCodeは10種類のツール説明を含めても、総入力は約6900トークンだった。
ツール機能をすべて無効にした場合でも差は残った。Systimaによると、Claude Codeのシステムプロンプトは約6500トークン、OpenCodeは約2000トークンだった。
初期入力の大きさは、単なるコスト増にとどまらない。Claude Sonnetの20万トークンのコンテキストウィンドウを前提にすると、Claude Codeは実際のコードやユーザーとのやり取りを読み込む前の段階で、全体の約6分の1を消費する計算になる。プロンプトキャッシュで再送コストは抑えられるものの、コンテキストウィンドウを占有するトークン数そのものは減らないとSystimaは説明している。
実際の開発環境では、プロジェクトの規則を記した指示ファイルも入力増加の要因となる。72KBの「CLAUDE.md」を追加すると、Claude CodeとOpenCodeの双方で、1リクエストあたり約2万トークンが上乗せされた。指示ファイルは基本的にすべてのリクエストでモデルに送られるため、ファイルが長いほどトークン使用量も比例して増える。
外部サービスや開発ツールをつなぐMCPサーバーも初期負荷を押し上げた。MCPでは、利用可能な機能や引数の情報をモデルに渡す必要があり、サーバーを1つ追加するごとに約1000~1400トークン増加した。MCPサーバーを5つ接続すると、初期入力は約5000~7000トークン増えた。
Systimaが、MCPサーバーや指示ファイル、プラグインを含む実運用環境で測定したところ、Claude Codeはユーザーが命令を入力する前に約7万5000トークンをモデルに送信していた。この環境では利用可能なツールが計118種類に増え、モデルに渡されたデータサイズは311KBだった。構成次第では、初回リクエストが7万5000~8万5000トークンに膨らむ可能性があるという。
もっとも、初期トークン使用量が多いからといって、すべての作業で非効率になるとは限らない。ファイル生成とプログラム実行を繰り返すテストでは、Claude Codeは複数のツールをまとめて呼び出し、総リクエスト回数を3回に抑えた。この場合の総入力トークンは約12万1000トークンだった。
一方、OpenCodeはツールを1つずつ呼び出し、計9回のリクエストを送った。入力トークンも約13万2000トークンと、むしろClaude Codeを上回った。初期負荷が小さくても、リクエスト回数が増えれば最終的なトークン消費量に大きな差が出ない場合があることを示している。
Sub-agent(サブエージェント)を使うケースでは、コストはさらに膨らんだ。Claude Codeが作業を2つのサブエージェントに分割すると、各エージェントがシステムプロンプトとツール説明を再読み込みし、上位エージェントが結果を再検討する工程も加わる。総入力トークンは約12万1000トークンから51万3000トークンへ急増した。
Systimaは、今回の結果は特定環境での測定値であり、モデルのバージョンやMCP構成などによって変動し得ると説明している。その上で、AIエージェントの運用では料金表示だけを見るのではなく、実際にモデルへ渡るプロンプトとトークン使用量を記録し、指示ファイルやMCPサーバーを1つずつ追加しながら初期負荷を点検する必要があると提言した。