ドナルド・トランプ米大統領が昨年、家族関連の暗号資産事業で14億ドル超の収益を得る一方、個人資産の増加はビットコインなどのデジタル資産ではなく、株式や債券など伝統的な金融資産に集中していたことが分かった。
ブロックチェーンメディアのCryptoPolitanが13日に報じたところによると、直近で公開されたトランプ氏の2025年の資産公開報告書では、昨年末時点の株式・債券ポートフォリオは7億300万~26億ドルだった。
これは、2024年末時点の2億2500万~6億800万ドルから大幅に増えた水準だ。下限ベースでも3倍超、上限ベースでは4倍超に拡大した計算になる。
米連邦政府の公職者向け資産公開制度は、正確な保有額ではなく一定のレンジで申告する仕組みのため、暗号資産事業で得た収益が具体的にどの資産に振り向けられたかまでは確認できない。
CryptoPolitanが引用したデジタル資産分野の専門家9人は、トランプ氏が相応の規模の暗号資産を引き続き保有している一方、保有資産の中心は伝統的な金融商品にあると分析した。
暗号資産への投資も従来より拡大した。資産公開報告書によると、トランプ氏は昨年末時点で、家族が設立した暗号資産プロジェクト「World Liberty Financial」のガバナンストークンを157億5000万枚保有しており、評価額は5000万ドル超とされた。
このトークンは、トランプ氏が同社で担った役割に対する報酬として付与されたものだ。一般投資家の保有分よりも長いベスティング(売却制限)期間が設定されており、直ちに市場で売却することはできない。
また、World Liberty Financialと、トランプ氏のミームコインを運営する事業体は、昨年末時点で少なくとも1億6000万ドル相当のビットコインとイーサリアムを保有していた。これに加え、最大600万ドル相当のその他の暗号資産も保有していたという。
この水準は、2024年の資産公開報告書に記載されたイーサリアム保有額の100万~500万ドルを大きく上回る。これらの数値には、トランプ氏個人の保有分に加え、事業上の利害関係を管理する法人の保有分も含まれる。
一方で、エリック・トランプ氏とドナルド・トランプ・ジュニア氏が支援した上場暗号資産企業の株式を新たに取得したとの記載はなかった。公開文書でも、当該企業名は明示されていない。
こうした中、民主党はトランプ一族の暗号資産事業を巡る利益相反の可能性を改めて問題視している。エリザベス・ウォーレン氏、リチャード・ブルーメンソール氏、ゲイリー・ピーターズ氏、ディック・ダービン氏、ロン・ワイデン氏の民主党上院議員5人は11日、共和党主導の上院委員会に対し、関連する公聴会の開催を求めた。
議員らは、トランプ一族の暗号資産事業に外国資金が流入した場合、国家安全保障上のリスクが生じる可能性があると主張した。
共同声明では、「公開資料は、大統領が自ら経済的利益を得る産業に有利な暗号資産法案を推進しているとの懸念を強めている」と指摘した。さらに、政権が暗号資産企業を既存の金融規制の枠外に置こうとしている動きや、司法省による国家暗号資産執行チームの解体も、利益相反を巡る論争を一段と強めているとした。
議員らは書簡で、トランプ一族の暗号資産事業が昨年の同氏所得の大半を生み、関連収益は約14億ドルに達すると主張した。特にWorld Liberty Financialについては、トランプ氏に数億ドル規模の利益をもたらした中核事業と位置付けた。
外国資金流入を巡る疑惑も浮上している。民主党議員らは、アラブ首長国連邦(UAE)の国家安全保障顧問シェイク・タフヌーン・ビン・ザイード・アル・ナヒヤン氏に関連する組織が、World Liberty Financialの持ち分49%を取得したとの報道に言及した。
また、資産公開書類で実名が開示されていない第三者の存在についても、追加調査が必要だと訴えた。大統領の暗号資産保有の構造や、外国資金が政策決定に影響を及ぼす可能性を検証するため、上院公聴会を開くべきだとしている。
今回の資産公開資料からは、トランプ氏が暗号資産事業で巨額の収益を上げる一方、個人資産の運用では相対的に値動きの小さい株式・債券の比重を大きく高めていた実態がうかがえる。併せて、持ち分の構造や外国資金流入の有無、政策決定への影響を巡る議論も強まりそうだ。