ChatGPT Workが生成・送信したテストメールの画面

OpenAIは7月10日、業務用AIエージェント「ChatGPT Work」を公開した。最新モデルのGPT-5.6とコーディングエージェント「Codex」の技術を基盤に、複数のアプリやファイルから文脈を集約し、文書、表計算シート、プレゼンテーション、Webアプリなどを生成できるという。

実際に試したところ、1つのChatGPT画面内でクラウドとローカル環境を行き来しながら、複数の業務をまとめて処理できた。単なるチャットボットというより、AIを中核に据えた統合業務環境に近い仕上がりだ。

◆外部アプリを横断し、情報を再利用

外部アプリとの接続は比較的簡単だった。プラグイン一覧からGmail、Google Drive、Notionを選び、アクセス権限を許可すれば利用できる。

接続後は自然言語で指示するだけで、ChatGPTが必要なアプリや機能を判断して使い分ける。従来の自動化ツールのように、アプリごとのAPIやMCPサーバー、実行順序を利用者が個別に設定する必要はなかった。

アプリ連携機能と、作業方針に当たる「スキル」はプラグインとして提供される。利用者は必要な結果を説明するだけでよい。試しにGmailを接続し、テストメールを送信してみた。

指示内容は「確認した瞬間に気分が良くなる内容で、業務メールにテストメールを送って」。ChatGPTは件名と本文を作成したうえで、宛先と送信元アカウントを表示し、送信前に承認を求めた。「送って」と返すと、受信箱には「ソン・スルギ記者さまに届いた良い知らせ」という件名のメールが届いた。

Notionでは、メモ帳に散在していた取材ノートを日付ごとに整理して保存させた。その後、「OpenAI関連のメモだけ集めて記事アイデアを提案して」と指示すると、保存済みノートから関連内容を抽出し、複数の切り口を提示した。

未整理の取材メモでも、内容を整えて分類し、後から再利用しやすい形にできた。Google Driveでは正確なファイル名を指定しなくても、「Dataikuの資料が2つほどあるはず。探して」と依頼すると、直近の発表資料とプレスリリースを見つけ出した。

さらに、その2つの資料を統合して市場での差別化要因を分析するなど、作業は途切れずに進んだ。

◆ローカルフォルダもそのまま作業対象に

ローカル環境での作業にも対応していた。ただし、そのためには新しいChatGPTデスクトップアプリをインストールし、ローカルフォルダを作業領域として設定した状態で会話を始める必要がある。Web版やアプリで開始したクラウド中心の会話に、途中からローカルフォルダを追加接続することはできなかった。

インフォグラフィックの作成も試した。ダウンロードフォルダへのアクセス権限を付与し、科学技術情報通信部が配布した「みんなのAI」のプレスリリースと別添資料を探し、要点を可視化するよう依頼した。

すると、数百件のファイルの中から関連するHWPX文書2件を見つけて分析し、インフォグラフィックを生成した。仕上がりも概ね良好だった。

ローカルファイルは読み取りだけでなく修正にも対応した。ランダムに付与された画像ファイル名を「報道_サムネイル.png」のように分かりやすい名称へ変更するよう指示すると、すぐに反映された。

作業領域がローカルフォルダに設定されているため、ファイルを別途ダウンロードして修正する手間はない。既存資料をChatGPT上で呼び出して編集できるほか、生成したファイルをそのままローカルに保存・管理できる点は使い勝手がよかった。

◆複数の成果物を連続生成、負荷が高いと失速

より複雑な作業として、規模1兆4000億KRWの「全北・慶南フィジカルAI研究開発事業」に関する提案依頼書(RFP)と公告文13件の分析も試した。全35の細部課題を含み、手作業で読み解くには数時間かかる分量だ。

「RFPを分析して事業の全体像を示して」と指示すると、ChatGPT Workは課題ごとの予算、期間、目標を抽出し、課題間の連携構造まで整理した。文書ごとに表記が異なる項目についても、1つの基準にそろえたデータ構造を作成した。

そのデータを基に、分析レポート、比較用の表計算シート、政策ブリーフィング向けプレゼンテーション、課題別フィルターを備えたHTMLダッシュボードを連続して作成した。同じデータを出力形式ごとに再加工する工程を、まとめて処理した格好だ。

一方で、複数ファイルを同時に扱いながら成果物を並行生成すると、処理速度は目に見えて落ちた。完成度にもばらつきがあり、分析レポートと表計算シートは事業構造を把握するには十分だったが、プレゼンテーションはデザイン面、内容面ともに手直しが必要だった。

HTMLサイトもメニュー部分だけが作成され、一部コンテンツは空欄のままだった。同様のWeb制作をコーディング特化のCodexに任せた場合と比べると、安定性は見劣りした。

総じてみると、文書や表を中心とした一般業務にはChatGPT Workが向き、コード作成や動作検証ではCodexの方が相対的に適している印象を受けた。処理待ちの間は、画面端に表示される「ペット」と簡単なインタラクションもできる。

業務効率を直接高める機能ではないものの、長時間の作業時には、動くキャラクターが進行待ちの退屈さをいくぶん和らげた。利用者はペットを選べるほか、自作して適用することもできる。

◆新機能の寄せ集めではなく「業務統合」が焦点

ChatGPT Workを構成する個別機能のすべてが新しいわけではない。GoogleのNotebookLMは提供資料を根拠に分析でき、n8nは複数アプリとAPIを接続して反復業務を自動化できる。

OpenAIが2月に買収したオープンソースAIアシスタント「OpenClaw」も、利用者の端末上でメールや予定表などを管理する。違いは、利用者がワークフローを自ら細かく設計しなくてもよい点にある。

ChatGPT Workは、自然言語で目標を示せば、必要な資料やツールを探し出し、成果物の作成まで進める。ただ、細かな実行条件を厳密に制御する機能はn8nに比べて弱く、出典ベースの資料分析ではNotebookLMの方が直感的だった。

最も近い競合として挙げられるのはAnthropicの「Claude CoWork」だ。いずれも長時間の作業と多様な成果物の生成を支援するサービスだが、ChatGPT WorkはCodexを同一環境で扱える点を、Claude CoWorkは複数環境をまたぎながら作業を継続できる点を、それぞれ打ち出している。

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