MoonPayは、暗号資産向けAIアシスタント「MoonAgents」のTelegram連携を開始した。ユーザーはTelegram上のチャットから、市場分析やダッシュボード作成、取引準備などを自然言語で指示できる。データや秘密鍵はPC側に保持し、会話履歴もローカルに保存する設計とした。
ブロックチェーンメディアのDecryptが9日(現地時間)に報じた。今回の連携は、既存の「MoonAgents」デスクトップアプリの利用シーンを広げる狙いがある。
MoonPayでエージェント部門を統括する最高製品責任者(CPO)、ケビン・アリピン氏は、デスクトップ版はPCベースで動作するため、外出先でも分析や取引準備を進められるようTelegramと接続したと説明した。
仕組みとしては、Telegramをユーザーインタフェースとして使いながら、実際のデータや秘密鍵はユーザーのPCに残す。ユーザーはTelegramのボット作成ツール「BotFather」でカスタムボットを作成し、MoonAgentsのデスクトップアプリと接続する。その後は市場分析の依頼、取引ドラフトの作成、ブロックチェーン上の活動監視などをチャット経由で行える。
MoonPayがTelegramを採用した理由は、暗号資産ユーザーの利用率の高さだけではない。アリピン氏は「新しいAIボットを作るためのTelegramのインタフェースは非常に優れている」と述べた。あわせて、WhatsAppやiMessageなど他のメッセージングサービスでは、同様の連携を構築するのに追加のシステム設定が必要になるとも説明した。
MoonAgentsは、Telegramに依存しない設計も特徴だ。会話履歴はすべてユーザーのPCに保存されるため、Telegramが利用できなくなった場合でも、デスクトップアプリ上でやり取りを継続できる。
今回の提供は、AIエージェントがデジタル資産やオンラインサービスに直接接続していく流れとも重なる。4月にはGoogle Geminiが、ChatGPTやClaudeなどのAIモデルを取引戦略の実行に接続できる「Agentic Trading」を発表した。6月にはCoinbaseが、ユーザーが設定した上限の範囲内で、AIエージェントが暗号資産の売買や決済、ポートフォリオ管理を担える「Coinbase for Agents」の提供を始めている。
Nous Researchも6月、「Hermes Agent」のデスクトップ版を公開した。MoonPayによると、OpenClawやHermes Agentのように、従来のチャットボットの枠を超えてAIアシスタントが動作する事例は、今回の設計にも影響を与えたという。アリピン氏は、こうした取り組みが、PCにアクセスできる大規模言語モデル(LLM)のユーザー体験を再定義したと評価した。
MoonPayのTelegram連携は、メッセンジャーを単なる配信チャネルとして使うのではなく、デスクトップ基盤のAIエージェントの接点を外部へ広げる試みといえる。暗号資産向けAIツールを巡っては、対話型インタフェースの拡大と資産管理の仕組みをどう両立させるかが、今後の焦点となりそうだ。