Coinbaseのポール・グレウォル最高法務責任者(CLO)が7月末で退任し、8月から顧問に就く。法務組織もこれに合わせて再編され、米国で進む暗号資産規制や関連法案への対応は新たな体制に移る。
暗号資産メディアのCointelegraphが現地時間9日に報じた。グレウォル氏は31日付でCLOを退き、Coinbase内で顧問を務めるという。
グレウォル氏は2020年からCLOを務めてきた。X(旧Twitter)とLinkedInへの投稿で退任を明らかにし、退任後は法務担当バイスプレジデントのモリー・エイブラハム氏とライアン・バングレーク氏が法務部門の中核を担うと説明した。エイブラハム氏は、自ら法務チームを率いるとしている。
グレウォル氏の次の進路について、現時点で具体的な公表はない。ただ、新たな役割については適切な時期に明らかにするとしたほか、Coinbase National Trust Companyの取締役会での活動は続ける見通しだ。
同氏は投稿で、「6年間を経て@Coinbaseを離れる。月末に顧問へ移り、Coinbase National Trust Companyの取締役会での職務も継続する。生涯にわたってCoinbaseの味方であり、@brian_armstrong、@emilemc、そして取締役会に感謝する」と述べた。
今回の人事は、単なる社内の幹部交代にとどまらない。Coinbaseの法務トップは、米国内の暗号資産政策や規制論議とも接点の大きいポストとみられている。グレウォル氏は在任中、2023年に米証券取引委員会(SEC)が起こした執行措置への対応を担う法務チームを率いた。この訴訟はその後、トランプ政権下で却下された。
Coinbaseは、暗号資産に友好的な政治家を支援する政治活動委員会(PAC)「Fairshake」の主要スポンサーの一社でもある。ブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)はドナルド・トランプ米大統領と会談し、議会に対して暗号資産関連法案の成立を働きかけてきた。
こうしたなか、後任の法務ラインが担う役割は一段と重みを増しそうだ。Coinbase経営陣は、デジタル資産市場明確化法案「クラリティ法案」の可決を議会に継続的に求めている。同法案は、デジタル資産の監督権限の相当部分をSECから商品先物取引委員会(CFTC)へ移す内容になるとみられている。
米上院は現在、地元日程のため休会中で、議員は来週復帰する見通しだ。復帰後に同法案の採決に進む可能性もあり、Coinbaseの法務トップ交代は、米国の暗号資産規制体制の見直しが進む局面と重なることになる。
訴訟対応と立法対応が並行するなか、Coinbaseの新たな法務体制が果たす役割はこれまで以上に重要になりそうだ。