写真=Reve AI

米ニューハンプシャー州の行政委員会は9日、1億ドル(約150億円)規模のビットコイン担保の地方債発行案を3対2で否決した。実現すれば世界初とされた案件だったが、暗号資産の大きな価格変動と、州政府が関与することの妥当性を巡って慎重論が上回った。

Bitcoin MagazineやBoston Globeなどによると、同案は同日、ニューハンプシャー州行政委員会の採決に付され、否決された。

この計画は、ニューハンプシャー州企業金融庁とケリー・アヨット知事が、デジタル金融の誘致策の一環として進めていたものだ。実現していれば、世界初のビットコイン担保の地方債となる見通しだった。

案件はムーディーズの格付け手続きも終え、発行前の最終段階として行政委員会の承認を待つ段階に入っていたが、最終的な可決には至らなかった。

主な争点は、暗号資産の価格変動の大きさと、州政府がこの取引に事実上のお墨付きを与えることになるのではないかという点だった。反対票を投じたキャレン・リオット・ヒル委員は、ビットコインや暗号資産そのものに反対しているわけではないとしたうえで、州が値動きの激しい資産に連動する金融取引を後押しする形になることに懸念を示した。

これに対し、計画を主導してきたジェームズ・キー・ウォリス ニューハンプシャー州企業金融庁事務局長は、ビットコインはもはや新興資産ではなく、すでに定着した資産だと反論した。

同庁はこれまで、この仕組みでは納税者にリスクは及ばないと説明してきた。州は民間投資家と民間の借り手をつなぐ導管役にとどまり、ビットコインは担保として差し入れられる想定だという。

また、ビットコイン価格が急落しても州政府が返済義務を負わないよう設計し、3年満期の間に価格が上昇した場合には、州の関係機関が手数料収入を得て、それを中小企業、保育、住宅、経済開発プログラムに充てる構想だった。

アヨット知事も、先行者利益を見込める取り組みだとして必要性を訴えていた。州政府がイノベーションを続けることが成長につながるとして、特に納税者保護の仕組みが整っているのであれば、前向きに検討すべきだとの考えを示していた。

採決の過程でも対立は鮮明だった。リオット・ヒル委員は案件の保留を提案したが支持を得られず、そのまま最終採決に進んだ。

ジャネット・スティーブンス氏とデイビッド・ウィーラー氏が反対し、ジョセフ・ケニー氏とジョン・スティーブン氏が賛成した。

今回の否決は、ニューハンプシャー州がこのところ示してきた親ビットコイン姿勢とはやや異なる動きでもある。アヨット知事は昨年、州財務長官がビットコインに投資する裁量を持てるようにする法案に署名し、同州は戦略的ビットコイン準備金に関する法制を通過させた最初の州となっていた。

もっとも、実際の金融商品発行の局面では、委員会は価格変動リスクと公的機関の役割を重く見た形だ。

ニューハンプシャー州企業金融庁は、今後の議論を打ち切ったわけではない。キー・ウォリス氏は、デジタル資産経済におけるニューハンプシャー州の役割にはなお期待しているとして、今後この構想を委員会に再提示する可能性があると明らかにした。

米地方政府によるビットコイン担保の資金調達を巡っては、当面、慎重論とイノベーション推進論の間で議論が続きそうだ。

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