米CNBC「Mad Money」司会のジム・クレイマー氏は9日(現地時間)、このところ軟調な超大型ハイテク株について、なお強気の見方を示した。市場は「マグニフィセント7」を一括りに捉えがちだが、実際には事業構造もAI戦略も大きく異なり、個別に評価すべきだというのが同氏の主張だ。
CNBCによると、クレイマー氏は、いわゆるマグニフィセント7を同列に扱う判断は誤りだと指摘した。マグニフィセント7はAlphabet、Amazon、Apple、Meta、Microsoft、NVIDIA、Teslaを指す。生成AIブームが続いたここ数年は相場上昇をけん引してきたが、2026年に入ってからは総じて苦戦が目立つ。
同氏は、投資家が注目すべきなのは短期的な株価の振れではなく、AI事業がいつ収益化に至るかだと述べた。「いつの日か、この中の1社が決算説明の場で、AI製品を理由に業績見通しを引き上げると明らかにする時が来る」としたうえで、「その時には銘柄群全体に強いラリーが広がり、乗り遅れた投資家は後悔するだろう」と語った。
具体例として挙げたのがMetaとAlphabetだ。Metaは年末に自社AIチップの生産を始める計画と報じられている。これは来年に向けてコンピューティング能力をさらに拡大する流れの一環と位置付けられる。ただ、市場ではこの動きを、大規模な設備投資を簡単には絞れないことを示すシグナルと受け止める向きもあり、クレイマー氏は初期反応が鈍かったと指摘した。
さらにMetaについては、計算資源を外部に販売する事業も検討していると報じられている。実現すれば、Amazon、Alphabet、Microsoftが主導してきたクラウド分野で競合する可能性もある。
もっともクレイマー氏は、ウォール街がMetaの強みを過小評価しているとみる。マーク・ザッカーバーグCEOについては、「会社の先行きを我々以上に把握している可能性を認めるべきだ」とし、「彼はこれまでもそうした判断の正しさを何度も証明してきた」と述べた。
Alphabetについても、同様の見方を示した。市場の関心は同社の大規模なAI投資や、ChatGPT、Claude、Cohereといったチャットボットとの競争に集まりがちだが、YouTubeやWaymoといった既存事業・周辺事業の価値も併せて評価すべきだという。クレイマー氏は投資家に対し、「比較をやめて、考え始めろ」と呼びかけた。
同氏は、超大型ハイテク株が当面は同じ方向に動きやすい地合いが続く可能性も認めた。1銘柄の弱さが他銘柄まで押し下げる展開は今後もあり得るという。ただ、その構図が逆に働けば、上昇局面では勢いが一段と強まる可能性があるとも指摘した。1社でもAI事業が意味のある利益源として定着したことを示せば、残る銘柄全体にも再評価が急速に広がり得るという見立てだ。
クレイマー氏は「巨大企業群のうち、たった1社でもAI事業がすでに利益を生んでいると言えば、状況は変わる」と述べた。その場合、投資家の視線は汎用半導体株から、巨額のキャッシュフローを生み出す超大型クラウド企業へと移る可能性があるとした。
今回の発言が示すのは、大型ハイテク株を単一の取引対象としてみる発想から離れる必要があるということだ。Metaのチップ内製化とコンピューティング事業拡大、Alphabetの既存事業価値、そしてAI収益化の有無が、今後の株価の方向を左右する主要な変数として浮上している。投資家の関心は、AI投資の規模そのものよりも、それがいつ業績改善につながるのかという点に移りつつある。