UWB決済の公共交通分野への展開を視野に入れた取り組み。写真=Reve AI

JCB、りそなホールディングス、オダワラ機器の3社は、スマートフォンを取り出さずにバス運賃を支払えるUWB活用のハンズフリー決済サービスの開発に乗り出す。2026年に技術検証を開始し、2027年度に一部路線で小規模に提供したうえで、2028年の本格導入を目指す。

3社は、UWBを用いたバス運賃決済サービスの実用化に向けた覚書を締結した。共同で開発と実証を進める方針で、将来的な商用展開を視野に入れる。

サービスの中核となるのは、乗客がスマートフォンをポケットやバッグに入れたまま乗降できる「ハンズフリー決済」だ。乗車時や降車時に端末へスマートフォンをかざしたり、画面を提示したりする必要はなく、運賃を自動で精算する。NFC対応の交通系カードやQRコード決済とは異なるアプローチとなる。

基盤技術にはUWB(Ultra Wideband)を採用する。UWBは数センチメートル単位で位置を把握できる近距離無線通信技術で、近年はスマートフォンへの搭載が広がっている。決済端末が利用者の位置を高精度に認識できるため、従来の非接触決済を一歩進めた仕組みとして活用を見込む。

今回の取り組みは、JCBとりそなグループが3月に打ち出したUWB決済分野での協力を、公共交通へ広げる位置付けとなる。これまでは店舗決済を中心に事業化を進めるとしていたが、今回は対象をバス分野に拡大した。路線バス向け運賃収受システムで高いシェアを持つオダワラ機器が加わったことで、現場導入に向けた具体性も増した。

バスを最初の適用先とした背景には、公共交通業界の人手不足がある。日本のバス業界では運転士不足と高齢化が進んでおり、多様な決済手段への対応や乗客案内が現場の負担になっている。とりわけ通勤時間帯には、決済に時間を要すると乗降に遅れが生じ、定時運行に影響する可能性がある。

3社は、UWB決済の導入によって、利用者は操作なしで運賃を精算でき、事業者側では運転士の負担軽減につながるとみている。あわせて、乗車履歴を活用した割引クーポンの提供や路線案内など、利用者ごとに最適化したサービス展開も可能になるとしている。

標準化にも並行して取り組む。オダワラ機器は今回の事業を機に、UWBの国際標準化団体であるFiRa Consortiumに参加し、バス運賃システムとUWB技術の連携に関する標準づくりを進める予定だ。

今後は、実証を通じて現場での適用範囲をどこまで広げられるかが焦点となる。3社は2027年度の小規模提供、2028年度の本格導入というスケジュールを示しているが、実用化に向けては、バス車載端末との連携、乗降時の認識精度、利用者への案内体制などを検証する必要がある。

計画通りに実証が進めば、日本の公共交通決済は従来の非接触決済からさらに進み、端末に触れる必要もない新たな決済形態へ踏み出すことになりそうだ。

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