米国道路交通安全局(NHTSA)が、無人ロボタクシーを対象にハンドル装着義務の撤廃を検討している。人の運転を前提とした従来の車両基準を見直し、完全自動運転専用車に手動操作装置を求める規制を緩和する方向だ。
電気自動車メディアのInsideEVが9日(現地時間)に報じた。完全自動運転のみを想定して設計された車両に対し、ハンドルなど従来の手動操作装置を引き続き義務付ける現行の連邦規則は、見直される可能性が高まっているという。
ジョナサン・モリソンNHTSA長官はCNBCのインタビューで、人が運転しないことを前提に設計された車両に手動操作装置を求めるのは合理的ではないとの認識を示した。現行制度では、Waymoなどのロボタクシー事業者が高い自動運転技術を持っていても、多くの車両で連邦規則上ハンドルなどの装備が必要とされている。
今回の動きは、NHTSAが1カ月前に自動運転車の物理的なブレーキペダル義務の見直し方針を示したことに続くものだ。規制緩和は試験走行段階にも及ぶ。NHTSAは昨年、自動車メーカーが完全無人車を試験する際、連邦自動車安全基準(FMVSS)の適用除外を申請できるようにする規則を公表したが、現在はこうした車両の生産台数が2500台に制限されている。
こうした制度変更は、TeslaやWaymoなど自動運転関連企業に直接影響する可能性がある。InsideEVは、米政府が手動操作装置に関する規制上の障壁を広く取り除く方向に動いていると伝えた。TeslaがハンドルのないCybercabの試験を進めていることも、こうした規制見直しの流れと重なる。
一方で、安全面での懸念はなお残る。モリソン長官は、緊急時に救助隊の活動を妨げないよう、自動運転企業に対応を求めていると語った。ロボタクシーを遠隔操作して緊急車両の通行を確保する方法についても、それ自体にリスクが伴うと指摘した。
州政府レベルでは、連邦政府とは異なる方向の規制強化も進んでいる。ニュージャージー州は最近、自動運転車のセンサーやハードウェアに関する要件を引き上げ、試験手続きを強化する法案を提案した。連邦規制が手動操作装置の義務緩和に向かう一方、一部の州は公道投入前の検証をより厳格にしようとしている。
焦点は、自動運転専用車を従来の自動車基準の枠内で扱い続けるのかどうかにある。NHTSAは、人が運転しない車両に人向けの操作装置を求める規則の見直しを進める構えだが、商用化に向けては緊急時対応や試験・検証の枠組みが引き続き論点となりそうだ。