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中国でAIの利用が急拡大している。日次のAIトークン消費量は2年余りで1000倍超に膨らみ、欧米の企業市場でも中国製AIモデルの採用が広がっている。背景には大幅な価格優位がある一方、データ開示リスクや米国の規制強化といった不確実性もくすぶる。

9日付のCryptopolitanによると、中国の日次AIトークン消費量は2024年初めの1000億個から同年末には100兆個に増え、2025年3月には140兆個を上回った。

トークンは、AIモデルがテキストや各種データを処理・生成する際の基本単位だ。チャットボットの応答から動画生成まで、多くのAIサービスで利用量や課金の基準として使われている。

中国の業界内では、トークン消費の急拡大に伴い、AIサービスがトークン単位で取引される市場の形成が進みつつあるとの見方が出ている。

こうした動きは中国国内にとどまらない。複数のAI事業者にリクエストを振り分けるOpenRouterでは、中国製AIモデルが2026年2月以降、企業向けトラフィックの少なくとも30%を占めてきた。

CNBCの集計では、この比率は2026年半ばに46%まで上昇した。前年平均の11%、2025年初めの4.5%から大きく伸びた格好だ。

OpenRouter全体の利用量も拡大している。週次のトークン処理量は2025年4月の5兆個超から、2026年4月には20兆個超へ増えた。

中国製モデルの躍進を支える最大の要因として挙がるのが、価格競争力だ。

OpenRouterのジャスティン・サマービルは、オープンソースを基盤とする中国製モデルについて、AnthropicやOpenAIの最上位モデルと比べて通常60〜90%安いと説明した。

実際、2026年6月時点では、OpenAIのGPT-5.5の入力価格が100万トークン当たり5ドル(約750円)だったのに対し、DeepSeek V4 Flashは0.14ドル(約21円)にとどまった。

この価格差を背景に、中国製モデルは2月9〜15日の1週間で4兆1200億トークンを処理し、OpenRouterで初めて米国製モデルを上回った。

現在、OpenRouterで企業向け最大の供給元となっているのはDeepSeekだ。ルーティングされたトークン全体の17.6%を占め、週次処理量は5兆1300億個に達した。

AlibabaのQwenが13.9%で続き、週次処理量は2兆7700億個だった。国別では、中国製モデルがプラットフォーム全体のトークンの46.4%を占め、米国系モデルは35.7%だった。

米国勢ではAnthropicが14.8%で最大だった。

企業の導入現場でも同様の傾向がみられる。Rampのチーフエコノミスト、アラ・カラジアンは、最大の要因はコストだと分析した。

カラジアンは、DeepSeekが同社指数で最も急速に存在感を高めたソフトウェアベンダーになったと指摘。こうした技術は実証段階を超え、実際の企業支出として定着し始めているとの見方を示した。

一方、米国のアクセス制限政策も選択肢の変化に影響している。ワシントンが最も高度なモデルであるGPT-5.6 Solへのアクセス権を約20の承認機関に限定したことで、一般利用者は段階的に提供されるTerraとLunaにはアクセスできるものの、Solの高度な機能の利用には連邦当局の承認が必要になった。

業界の一部では、米国が自国の最上位モデルへのアクセスを絞ることで、企業がより安価で利用しやすい海外製の代替モデルを選びやすくなっているとの見方も出ている。

需要拡大の中心にあるのがAlibaba Cloudだ。Citi ResearchとUBSのアナリスト、ケネス・フォンは8日、Alibaba Cloudの2027会計年度第1四半期の売上高成長率見通しを、従来の40%から45%以上へ引き上げた。

これに先立ち、2026会計年度第4四半期には、Alibabaのクラウド・インテリジェンス・グループの外部顧客向け売上高が40%増加した。AI製品は当時、外部クラウド売上高の30%を占め、3桁成長も11四半期連続で続いた。

もっとも、成長の裏ではリスクも浮上している。中国の国家情報法に基づき、企業が政府からデータ開示を求められる可能性がある点は、個人情報保護を巡る懸念を強めている。

逆に、米国の規制もAIの利用可能性を左右する要因となる。米国の輸出規制により、AnthropicのFable 5とMythos 5は6月12日に利用停止となり、7月1日に復旧した。

企業や政府は今後、中国製AIモデルの低コストという利点と、プライバシー懸念、地政学リスク、米中通商関係の不確実性を併せて見ながら、慎重な判断を迫られそうだ。

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