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JPモルガンは、ビットコインを巡る構造的リスクとして、Strategyによる保有分の売却そのものよりも、トークン化や決済、清算の機能が許可型ブロックチェーンへ移る流れを重視している。公開チェーンの役割が縮小し、規制下の金融インフラに中核機能が吸収される可能性があるためだ。

Bitcoin MagazineやThe Blockなどの海外メディアが9日(現地時間)に報じたところによると、JPモルガンは、トークン化や決済、清算が公開チェーンではなく許可型インフラ上に定着した場合、暗号資産エコシステム全体が再評価を迫られる可能性があると分析した。

足元では、Strategyが7月初め、優先株の配当原資を確保する目的で3588BTCを2億1600万ドル(約324億円)で売却したことが市場の注目を集めている。同社にとっては過去最大規模の売却とされる。

ただ、JPモルガンは、この売却が短期的な需給悪化要因にはなり得ても、ビットコインの本質的なリスクではないとみている。ニコラオス・パニギルツォグル氏率いる分析チームは、問題の核心は資産そのものではなく、トークン化や決済、清算がどの基盤上で行われるかにあると指摘した。

JPモルガンが注視するのは許可型ブロックチェーンの拡大だ。機関投資家は、プライバシー保護、KYC(顧客確認)やAML(マネーロンダリング対策)への対応、ガバナンス、処理能力、法的責任、規制面の確実性などを理由に、許可型ネットワークを選好してきた。こうした流れは、Ethereumのような公開チェーンにとって競争圧力になり得る。

国際決済銀行(BIS)も同様の問題意識を示してきた。BISは、システム上重要な金融インフラに無許可型の公開チェーンを用いることに警鐘を鳴らし、トークン化された中央銀行マネーや銀行預金、各種資産を規制された枠組みに収める「統合台帳」を代替案として提示している。デジタル資産の中核機能が、公開チェーンの外側で取り込まれる可能性を示すものだ。

こうした傾向は、トークン化預金の分野でより鮮明だ。トークン化預金は、銀行預金残高に対するデジタル化した預金債権であり、銀行規制や預金保険の枠組みの中で扱われる。

JPモルガンは、規制当局が選好する譲渡制限付きの形でこうした預金が広がれば、機関投資家間決済において公開型ステーブルコインを置き換える可能性があるとみている。加えて、SWIFTのブロックチェーン関連プロジェクトや、デジタルユーロ、デジタル人民元など中央銀行デジタル通貨(CBDC)の推進も、規制下ルートを強める要因に挙げた。

実物資産(RWA)のトークン化市場についても、JPモルガンは同じ方向性で捉えている。市場規模は現在約500億ドル(約7兆5000億円)で、その相当部分は依然としてEthereum上にある。

もっとも、JPモルガンは現状を最終形とはみていない。あくまで初期の実証段階にあるとの見方で、発行、カストディ、清算といった機能は、成熟段階では民間の規制下インフラへ移り、公開チェーンは流通や相互運用性を担う役割にとどまる可能性があるとした。

米証券決済大手DTCCとSecuritizeの事例も、そうした流れを示す兆候として挙げた。JPモルガンはまた、規制対象企業の立場からみて、公開チェーンを前提としたリアルタイム清算が最も効率的な方式なのかについても疑問を呈した。資本効率の面では、繰延決済やネッティングの方が有利になり得るとの見方だ。

一方でJPモルガンは、このシナリオを唯一の帰結とは位置付けていない。報告書では反論材料として3つの可能性を示した。公開チェーンと許可型チェーンが並存するハイブリッド型が定着する可能性、規制環境の改善によってステーブルコインの採用が一段と進む可能性、そしてビットコインが他の暗号資産市場とは切り離され、デジタルゴールドや価値希薄化回避の手段としての役割を維持する可能性だ。

米国のClarity法案にも言及した。同法案が年内に成立した場合でも、公開型ステーブルコインより銀行発行の預金トークンを後押しし、結果として公開チェーンには不利に働く恐れがあるという。今後の注目点は、ビットコイン価格そのものより、トークン化資産と機関投資家向け決済インフラがどのチェーン上に定着していくかへ移りつつある。

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