写真=Shutterstock。SWIFTの共同台帳は、トークン化預金を既存の国際決済網と接続する商用化前段階に入った。

SWIFTが、ブロックチェーン基盤の共同台帳の稼働を開始し、トークン化預金を活用した次世代決済インフラの整備を本格化させた。6大陸の銀行17行と実取引パイロットの準備を進めており、2026年下期の取引完了を目指す。

CoinPostが10日付で報じたところによると、SWIFTは共同台帳を実用段階へ進め、参加銀行とともにトークン化預金を用いた実取引の検証に着手する。既存の決済ネットワークを維持しながら、週末や深夜を含む24時間365日の資金移動に対応できる体制づくりが狙いだ。

共同台帳は、参加行がそれぞれのシステム上で発行したトークン化預金を共通基盤で接続する仕組み。最終決済は従来の金融システムを使って安定性を確保しつつ、デジタル資産基盤の利点を取り込む設計としている。

SWIFTは2025年に共同台帳の開発計画を公表して以降、世界の金融機関と協議を続けてきた。約9カ月で稼働段階に入り、2026年3月には最小機能製品(MVP)に到達。今回はさらに、実取引の準備段階まで進んだ。

今回の取り組みは、単なる技術検証にとどまらず、商用化に向けた前進と位置付けられる。SWIFTは今後、限定的な運用から始めて機能と参加範囲を段階的に広げる方針で、既存の金融網にトークン化預金ベースの決済を円滑に組み込むことを重視する。

SWIFTの最高顧客責任者(CCO)、ティエリ・シロシ氏は、共同台帳によって既存金融システムの信頼性と安定性をデジタルマネーの領域に拡張できると説明した。銀行各社の高い関心は実用性の表れだとした上で、将来的にはプログラマブルマネーやAIを活用した自律的な商取引を支える基盤インフラになり得るとの見方を示した。

参加銀行も期待を寄せる。HSBCでグローバル決済ソリューションを統括するマニシュ・コフリ氏は、トークン化預金をSWIFTの新インフラにつなぐことは、クロスボーダー決済の革新に向けた重要なマイルストーンだと評価した。

三菱UFJ銀行(MUFG)の松本正弘シニアフェロー兼グローバルトランザクションバンキング責任者は、トークン化預金と分散型台帳技術(DLT)によって、国際送金や流動性管理の効率性と透明性を高められる可能性があると指摘した。その上で、実取引を通じて技術を検証しながら、既存の金融システムに安全かつ拡張可能な形で統合する方法を探る考えを示した。

このプロジェクトは、グローバル銀行によるトークン化の取り組みが概念実証(PoC)を超え、実運用に近づきつつあることを示す事例でもある。SWIFTは既存の決済網を維持したまま、デジタル資産基盤の金融サービス需要を取り込む現実的なアプローチを選んだ。

国際通貨基金(IMF)も、トークン化金融の成長可能性に注目している。IMFは2日に公表した報告書で、トークン化が金融システムの構造を変える可能性があるとし、デジタル決済資産としてトークン化銀行預金、ステーブルコイン、トークン化準備金の3類型を挙げた。

一方でIMFは、制度設計次第では金融統合を促す可能性がある半面、市場の分断を深めるおそれもあると分析している。

市場では、SWIFTの共同台帳プロジェクトが、銀行システムの中でトークン化決済がどのように定着するかを占う試金石になるとの見方が出ている。17行によるパイロットが商用取引につながるか、限定運用の段階でどの機能が優先的に拡張されるかが注目点となりそうだ。

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