写真=Reve AI

米国で読書量の減少が続くなか、書店市場が持ち直している。米Axiosによると、Amazonの拡大とBordersの破綻で一時は苦境に立たされたBarnes & Nobleや独立書店が、新規出店と売上増を背景に存在感を取り戻している。

AIが情報消費のあり方を変え、特定ジャンルの書籍販売に逆風が吹く一方で、書店はスマートフォンから離れられる「避難所」であり、「本当の発見」ができる場として価値を打ち出しているとAxiosは報じた。

Barnes & Nobleのジェームズ・ダウントCEOは「復活は実際に起きている」と述べた。米書店協会のアリソン・ヒルCEOも、「人々は自分の仕事と価値観を一致させたいと考えており、書店や地域コミュニティに愛着を持っている。消費者もまた、自らの価値観に沿った消費を望んでいる」と語った。

ダウントCEOは英国で書店経営に携わった経験を持ち、2019年にBarnes & Nobleのトップに就任して以降、経営立て直しを主導したと評価されている。各店舗が地域の読者層に合わせて品ぞろえや陳列を決められるよう、現場への権限移譲を進めた。

店舗改装や売り場づくりの見直しも進めた。加えて、玩具やゲームなど書籍以外の商品の取り扱いも大きく増やした。

ダウントCEOは、「各店のチームに店内で常識的な判断を任せれば、多くの店舗はより良く運営できる。それが継続的な改善の好循環につながる」と説明した。

独立書店にも回復の動きが広がっている。米書店協会によると、米国の書店数は2021年の2010店から2025年には3416店となり、約70%増えた。

2025年に売上が増えたと答えた書店は73%に上った。このうち47%以上は、売上が少なくとも6%増加したとしている。

こうした動きは、米国人の読書量が徐々に減っている局面で起きている点でも注目される。

6月に公表されたCBS Newsの世論調査では、米国人の36%が「10年前より本を読まなくなった」と回答した。「以前より多く読む」は23%にとどまり、40%が「変わらない」と答えた。AIによる要約機能やソーシャルメディアを通じた集中力の低下も、書店を脅かす要因として挙げられている。

作家のティム・フェリスは最近、自身の実用書の販売が急減したとして、かつては書籍から得ていた答えをチャットボットが代替していると指摘した。The Wall Street Journalも、硬派なノンフィクションの販売不振を伝える記事を掲載した。

それでもダウントCEOは、読書離れが進んでいるとの見方には同意しないとし、AIが本そのものを置き換えることはできないと語った。政治関連書籍など一部ジャンルの販売低迷は認めつつも、市場のトレンドが変化しているとの認識を示した。

「ロマンスの勢いは落ち着いているが、ロマンスとファンタジーを組み合わせた『ロマンタジー』は伸びている。ノンフィクションも売れている」と述べた。

さらに、「人々が本を読まなくなったという話は、書店業界で長く繰り返されてきた物語だ」としたうえで、「怠慢なジャーナリズムによる、まったくの出たらめだ」と批判した。Barnes & Nobleでは最近、テイラー・スウィフトのようなスターを表紙に起用した「The Atlantic」など、雑誌の店頭販売も伸びていることを明らかにした。

アイオワ大学マーケティング学教授のペギー・ストーバー氏は、書店がZ世代による「バイニルレコードのようなアナログ体験」志向の恩恵を受けていると指摘した。「高度なデジタル技術が浸透する前の時代への郷愁が、書店ブームにつながっている。コーヒーを飲みながら人と会う場として書店を使っていた昔ながらのスタイルを、Z世代が復活させている」と述べた。

キーワード

#Barnes & Noble #Amazon #独立書店 #AI #Axios
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.