AIエージェントがコードを直接書く時代に、開発者は何を武器にすべきか。元OpenAIの起業家、フィル・チェン氏がX(旧Twitter)への投稿で、開発者のキャリア形成に必要な5つの視点を示した。
チェン氏はScale AI、Google DeepMind、OpenAIでの勤務経験を持つ。15人規模のスタートアップから10万人超の大企業まで、異なる組織で6年間働いてきた経験を踏まえ、自身が重視する考え方を整理した。
まず挙げたのは、時間の使い方と、人との信頼関係、そして評判だ。
同氏は、資本へのアクセスはかつてなく容易になった一方で、優秀な人材との間に築く信頼や評判は今なお希少だと指摘した。その上で、短期的に稼げる機会を追いかけるよりも、意味のある課題に集中し、質の高い仕事を積み重ねるべきだとした。そうした実績が、同じ方向を目指す人たちに伝わることが重要だという。
次に挙げたのが、解くべき問題を見極める力だ。
チェン氏は、もはや人が手でコードを書くことが前提ではない時代に、採用面接でLeetCode型の問題を課すことには大きな意味がないと述べた。採用で見るべきなのは、未知の環境に素早く適応し、何を解くべきかを選び、実行に移せるかどうかだとする。AIエージェントは定義済みの複雑な課題には強いが、何が重要な問題なのかを判断し、そこに資源を振り向ける役割は人間が担うべきだと説明した。
3つ目は、最も野心的な課題を選ぶことだ。
同氏は、AIを使えば簡単なシステムは誰でも作れるようになったとした上で、本当の価値は難度の高い課題に徹底して向き合ったときに生まれると強調した。会社選びについても同様で、その企業が課題に対してどれだけ野心的に取り組んでいるか、そして実際に解決できるチームを持っているかを見極める必要があると述べた。
4つ目は、最後の仕上げをやり切る力だ。
チェン氏は、AIエージェントが生み出す成果物の多くは粗削りだとし、そこから一段引き上げられる人が価値を生むと語った。完成度や構造の整合性、拡張性、創造性にもう一歩時間をかける習慣が、大きな差につながるとしている。
5つ目は、好機が見える場所に身を置くことだ。
同氏は、2023年にAnthropicとCursorからのオファーを断ってDeepMindを選び、2024年にOpenAIへ移ったと説明した。Cursorから声がかかったのは知人の間での評判があったからで、Anthropicについては、相手チームが関心を持つ問題に自分も時間を投じていたことがきっかけだったという。まずはチャンスが集まる場所に立ち、その上で実際に選択し、行動に移すことが重要だと述べた。
AI研究分野への参入についても助言した。
チェン氏は、計算資源はクラウド事業者のクレジットなどを通じて確保できるため、まずはモデルを実際に使い、評価するところから始めればよいとした。また、「研究者は職業ではなく態度だ」と述べ、最先端の研究所に所属していなくても、研究者のように働くことはできると語った。