中国のメモリモジュール大手Longsysは、2026年上期の純利益が前年同期比で最大744倍に達する見通しを示した。AI関連需要の拡大に加え、供給増が限られたことでメモリ市況が改善し、業績を押し上げた。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が6日付で伝えたところによると、Longsysの2026年上期の純利益は92億~110億元(約193億2000万~231億円)となる見込み。前年同期の1480万元(約3億2560万円)から、約622倍~744倍の大幅増となる。
売上高も大きく伸びる見通しだ。2025年上期の102億元(約214億2000万円)に対し、2026年上期は220億~250億元(約462億~525億円)を見込む。世界のメモリ市場の回復が、中国のストレージ関連企業の業績改善につながっている格好だ。
同社は業績急拡大の背景について、メモリ需要の回復と供給拡大が限定的なことを挙げた。AIサーバーやデータセンター向け投資の拡大に加え、PCとスマートフォン市場の持ち直しで需要が増加。一方で、世界のメモリ供給の増加は限定的にとどまり、価格環境が改善したとしている。
サプライチェーンの安定化も追い風になった。Longsysは、主要なメモリウエハー供給各社と長期供給契約や覚書(MOU)を再締結し、安定調達体制を整えたと説明。今後の成長に向けた供給網の強化につながったとしている。
今回の業績見通しは、中国メモリ関連企業の回復基調を映すものでもある。AI需要の拡大を背景にDRAMとNANDフラッシュ市場の需給が引き締まり、メモリ価格は反発。CXMTやYMTCといったメーカーに加え、SSDやメモリモジュールを手がける川下企業にも恩恵が広がっているとの見方が出ている。
Longsysは投資も加速する。中国当局は最近、同社の私募増資を承認しており、最大37億元(約77億7000万円)を調達する計画だ。調達資金は、AI向け高性能メモリ製品の開発、ストレージコントローラーチップ、先端パッケージング技術、試験能力の強化などに充てる。
さらに同社は5月、香港証券取引所への上場手続きを改めて進め、追加の資金調達にも乗り出した。市況回復で確保した収益力をてこに、ストレージ事業の競争力強化を急ぐ構えだ。
市場では、AI時代の到来でメモリ需要の拡大が続くなか、中国勢も生産拡大と技術投資を加速している点に注目が集まっている。メモリ価格の反発基調が続けば、中国のストレージ関連企業の業績改善も当面続く可能性がある。