ビットコインを既存の資産分類で捉えることは難しい――。こうした見方が強まるなか、サトシ・ナカモトが2010年に残した短い投稿が改めて注目を集めている。市場では、技術株やデジタルゴールドといった従来の枠組みではなく、発行上限やハッシュレートなどビットコイン固有の指標を軸に評価する動きが広がっている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、サトシは2010年7月5日(現地時間)、BitcoinTalkフォーラムで、ビットコインのベータ0.3公開や価格を巡る議論が続くなか、「ビットコインを大衆に説明するのは難しい。比較できる対象がない」と投稿した。
当時は技術的な文脈での発言と受け止められていたが、足元ではビットコインの性格を巡る議論のなかで改めて読み直されている。値動きの大きい技術株としてみるのか、それとも安全資産としてのデジタルゴールドとみるのか――。こうした従来の見方だけでは捉えきれないとの認識が広がっているためだ。
その流れのなかで、ビットコインを新たに定義しようとする動きも出ている。Strategyを率いるマイケル・セイラーは、最近公表したマニフェストで、従来の資産区分では捉えられない存在として、ビットコインを「デジタル資本」と表現した。
背景にあるのは、ビットコインを技術株や金の単純な類似物としてではなく、固有の供給構造とルールを持つ資産として捉えるべきだという考え方だ。
サトシは当時、ビットコインの価値をエネルギーコストと直接結び付ける見方にも否定的だった。価値はエネルギーコストに連動して決まるものではなく、採掘にかかる電力費や生産原価だけで価格を説明することはできないという認識を示していたとされる。
つまり、価格は最終的に市場の需給で形成されるという見方だ。この考え方は現在の市場でも共有されつつある。
ビットコインが6万3000ドル(約945万円)前後で推移するなかでも、市場では発行上限2100万枚という供給ルールが強く意識されている。加えて、ネットワークの健全性を測る指標としてハッシュレートが重視され、長期的な価値をみるうえではコードに組み込まれた発行スケジュールが判断材料になっている。
また、規制当局や伝統的金融の判断で供給構造が変わらない点にも関心が集まっている。Apple株や金塊と単純に比較するのではなく、プロトコルの数学的構造やネットワーク指標からビットコインを理解しようとする見方が強まっている。
こうした流れを踏まえると、2010年の短いフォーラム投稿は、現在の市場におけるビットコインの位置付けを先取りしたメッセージとして再評価されているといえる。かつては説明しにくいとされた独自性が、いまではむしろ評価の中核になりつつある。
市場はビットコインを他資産の派生形ではなく、独自のルールで動く別個の資産として捉える方向にある。今回の再注目は、ビットコインを他資産との類似性ではなく、供給構造とネットワークルールで評価する流れを改めて示した。