Bitcoinネットワークの将来像を巡る議論が続く中、Strategyのマイケル・セイラー会長は、資本力だけでBitcoinの合意形成を左右することはできないとの考えを示した。取引スパム対策や量子計算機への対応を巡ってBitcoin改善提案(BIP)の論争が広がる中での発言として注目を集めている。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、セイラー氏は3日(現地時間)、X(旧Twitter)への投稿で「分散型ネットワークでは、単一の主体が意思決定を独占することはできない」と述べた。この投稿は、Blockstreamのアダム・バックCEOが再投稿し、さらに話題を呼んだ。
議論の中心にあるのは2つのBIPだ。1つは取引スパムの抑制を目的とする「BIP-110」、もう1つは量子計算機による攻撃リスクに備え、長期間動きのないウォレットに制限を設ける「BIP-361」である。とりわけBIP-361については、サトシ・ナカモトが保有しているとされる約110万BTCを含む休眠ウォレットにも影響が及ぶ可能性があるとの指摘があり、コミュニティ内の対立が広がっている。
セイラー氏は、Strategyが約84万7363BTCを保有する企業として世界最大級のBitcoin保有者である一方、保有量の多さがそのままネットワークの支配力にはつながらないと指摘した。投資家が持つのはあくまで経済的な影響力であり、ノード運営者による取引検証やマイナーの計算能力など、他の参加者の役割とのバランスの上でネットワークは成り立っていると説明した。
さらに、政府規制や政治的圧力といった外部要因についても、ネットワークの合意を直接決めるものではないとの認識を示した。プロトコルの変更は、検証参加者、マイナー、資本市場のすべてが新たなルールを受け入れた場合にのみ成立する構造だとした。
今回の発言は、実際のフォークの可能性に直接触れたものではない。ただ、取引スパム対策や量子計算機対応を巡って、Bitcoinの中核原則が損なわれかねないとの懸念が出る中で、その重みを増している。
市場では、Strategyの財務状況にも関心が集まっている。報道によると、セイラー氏の発言時点で同社のBitcoin平均取得単価は約7万5646ドルだった一方、Bitcoin価格は約6万2000ドル水準にとどまっていた。未実現損失は約115億ドルに上ると推計されている。
それでもセイラー氏は、企業の損益やウォール街の評価とは切り離して、Bitcoinの運用原則はネットワーク参加者の合意によって維持されるべきだと改めて強調した。
業界では今回の発言について、特定のBIPの是非を超え、Bitcoinガバナンスにおいて実際に影響力を持つのは誰なのかという論点を改めて浮き彫りにしたとの見方が出ている。今後のBIP-110とBIP-361を巡る議論では、技術的な妥当性に加え、分散型ネットワークの原則と合意形成の手続きをどう維持するかが焦点となりそうだ。