USDCを発行するCircleの株価が、競合となる新たなステーブルコイン「OpenUSD」の参入観測を受けて急落した。もっとも、米証券業界では下げは行き過ぎとの見方も出ており、ClearStreetは12カ月目標株価を157ドルに据え置いた。
Decryptによると、Circle株(CRCL)は7月1日、OpenUSDの年内立ち上げ観測が伝わったことを受け、一時約18%下落した。
売りを誘ったのは、年末のローンチが見込まれるOpenUSDを巡る報道だ。Coinbase、Visa、Mastercardなどのグローバル企業がパートナーに入るとされ、Circleの事業基盤に対する警戒感が広がった。
これに対し、ClearStreetは投資家の反応が実態以上に先行していると分析した。OpenUSDは主要ステーブルコインに匹敵する顔ぶれのパートナーを掲げているものの、本格普及を裏付ける材料はなお乏しく、今回の下落は売られ過ぎと評価した。
同社は、OpenUSDの事例をGlobal Dollar Networkのステーブルコイン「USDG」に近いケースと位置付けた。USDGも立ち上げ時には注目を集めたが、現時点で一定の市場シェアを確保したとは言い難い。新たなステーブルコインが発表されたからといって、既存大手の地位が直ちに揺らぐわけではないとの見方だ。
Circleの最高経営責任者(CEO)ジェレミー・アレア氏も、投資家向けにOpenUSDについて見解を示し、USDCエコシステムの規模を強調した。同氏は、現在のUSDCネットワークはすでに大きな規模に達しており、OpenUSDがローンチ時点で同様の基盤を備える可能性は低いと説明した。
アレア氏は、競争力の源泉としてネットワーク効果を挙げた。強固なステーブルコインのネットワークには、多様なサービスやアプリケーション、十分な流動性に加え、政策・規制面への対応が必要だとしたうえで、Circleが世界で築いてきた数千規模のパートナー網と継続的な投資が、信頼性が高く利用しやすいデジタルドル基盤の構築につながったと強調した。
USDCの時価総額は現在730億ドル超で、ステーブルコインでは2位、暗号資産全体でも5位につける。これを上回るのは、時価総額1840億ドルのUSDTのみだ。市場では、こうした規模とネットワークが新規参入に対するCircleの防御力として意識されている。
株価はその後やや持ち直し、CRCLは急落後に約3%反発し、64.55ドル前後で推移した。ただ、52週高値の262.97ドルからはなお75%以上安い水準にあり、上場後の急騰局面と比べても調整色が強い。
こうした中でも、ClearStreetはCircleの12カ月目標株価を157ドルに設定している。これは当時の株価に対し約140%高い水準に当たる。短期的にはOpenUSDを巡る思惑がCircle株の値動きを荒くする可能性があるものの、市場では今後、実際のシェア変化やネットワーク拡大のペースを見極めながら、競争環境を改めて評価する局面が続きそうだ。