Getty Imagesは、Shutterstockとの37億ドル規模の統合計画を撤回した。英国競争・市場庁(CMA)が承認条件としてShutterstockのグローバル編集事業の売却を求めたのに対し、Getty Imagesの取締役会がこれを受け入れず、契約終了を決めた。
米ITメディアのEngadgetが1日(現地時間)に報じた。これにより、両社が進めてきた大型再編は白紙に戻る見通しとなった。
統合計画は2025年1月に公表された。両社は、AI画像の拡大を背景に、規模の大きいストック画像会社の形成を目指していた。統合後の社名は「Getty Images Holdings」とする予定で、当時、クレイグ・ピーターズCEOはこの案件を「転換点となる取引」と位置付けていた。
一方で、規制面では英国が最大のハードルとなった。米司法省は2026年初め、この取引を無条件で承認したが、CMAは5月、Shutterstockが著名人写真やニュース写真エージェンシーを含むグローバル編集事業を売却しない限り、統合を認めない方針を示した。両社の競争が失われれば、英国メディアの選択肢が狭まり、価格上昇につながる可能性があると判断したためだ。
Getty Imagesは最終的に、この売却条件を受け入れなかった。米証券取引委員会(SEC)への提出書類によると、Getty Imagesの取締役会は、Shutterstockの編集事業売却の手続きを進めず、統合契約を終了することを全会一致で決定した。7月7日までに事情に重大な変更がない限り、取引は終了手続きに入る。
今回のケースは、大型のコンテンツ・メディア分野のM&Aで、米国の承認だけでは十分でないことを示した形だ。英国当局は、両社の写真・編集コンテンツの統合が、メディア顧客の価格や選択肢に直接影響しかねないとみた。とりわけ編集用画像やニュース写真は、広告・マーケティング向けの一般的なストック画像とは異なり、報道機関の需要が集中する領域である点が重く見られた可能性がある。
両社は最近、それぞれOpenAIとも契約を結んでいる。これにより、両社のウォーターマーク入り画像がChatGPTの検索結果に表示される可能性が生じた。ただ、主要メディア各社はこれまで、AI生成画像を代替素材として本格採用していない。こうした環境の下で今回の統合計画は、単なる規模拡大にとどまらず、AI競争をにらんで画像アセットや編集コンテンツをどこまで確保できるかという意味合いも持っていた。
英国の今回の判断は、今後の大型メディア取引にも影響を及ぼす可能性がある。米司法省の承認を得た後でも、英国を含む各地域の規制当局の判断が取引の成否を左右し得るためだ。国境をまたぐメディア・コンテンツ企業の統合では、事業の重複解消や地域ごとの競争論点の整理が、これまで以上に重要になりそうだ。