Rippleのドル建てステーブルコイン「RLUSD」は、XRPを置き換えるのではなく、むしろXRPを軸とした取引の拡大につながっている――。Evernodeは6月30日、オンチェーンデータを基にそのような分析を示した。
この内容は、ブロックチェーンメディアのU.Todayが同日付で報じた。EvernodeはDune Analyticsのデータを踏まえ、RLUSDとXRPは競合関係ではなく、それぞれ異なる役割を担っていると指摘した。
XRPコミュニティでは足元、Rippleが新たなドル建てステーブルコインであるRLUSDに注力することで、価格変動の大きいXRPの必要性が薄れるのではないかとの懸念が出ていた。企業間決済がXRPL上で安定したドル建て資産を使って行われれば、流動性がXRPからRLUSDへ移る可能性があるとの見方だ。
ただ、実際の取引動向はそうした見方と異なるという。Evernodeによると、最新時点でRLUSDの総取引量の52%はXRP Ledger(XRPL)上で処理されている。4月時点ではこの比率は17%にとどまっており、当時は取引の大半がEthereum上に偏っていた。
XRPL内でのRLUSDの存在感も急速に高まっている。Evernodeは、1年半足らずの間に、XRPL上の取引全体に占めるRLUSD関連取引の比率が1%未満から12%へ上昇したと説明した。これは市場がXRPを見限ったというより、参加者によるドル建て流動性の移転がトークン経由で活発化していることを示すとしている。
焦点は、RLUSDとXRPの機能分担にある。RLUSDは、為替変動の影響を抑えつつ企業が決済に使える安定したドル建て価値を提供する。一方のXRPは、当事者間の需給が直接一致しない場面で、資産間を即時につなぐブリッジ資産として機能するという。
こうした構図は、RLUSD/XRPの直接取引ペアの拡大にも表れている。Evernodeによれば、この取引ペアの取引高は直近6カ月で9億ドルに達した。従来は存在感の薄かったドル建て流動性市場が形成されつつあり、両資産は同じ用途を争うのではなく、RLUSDが決済単位、XRPが交換経路として役割を分けていると評価した。
ネットワーク構造も、XRPが排除されにくい理由として挙げた。RLUSD/XRPペアで発生する注文、送金、取引にはいずれもネットワーク手数料が必要で、その手数料は恒久的にバーンされる。RLUSD建て決済が増えるほど、XRPが関与する取引活動も増え、結果としてXRPのバーン量も増加する仕組みだという。
Evernodeは、この構造を、伝統的な外国為替市場における米ドルの役割に近いモデルとみている。グローバル市場で米ドルが複数通貨の交換を支える軸となるように、XRPLではRLUSDがドル建ての価格基準を担い、XRPが資産間の即時交換を支えるという説明だ。
このため、市場ではRLUSDの普及がXRPの代替につながるかどうかよりも、ステーブルコインがXRPLに新たな流動性を呼び込み、XRPの利用度を高める可能性に注目が集まりつつある。Evernodeは、RLUSDはXRPを押しのけるのではなく、XRPを土台とした流動性を生み出し、ネイティブトークンのバーン増加にもつながると結論付けた。
今回の分析は、ステーブルコインの拡大を既存ネイティブトークンの単純な代替とみなすべきではないことを示している。XRPLでは、RLUSDがドル決済の軸を担い、XRPが交換機能と手数料構造を支えることで、機能分担そのものが取引流動性とネットワーク活動の拡大につながっているという。
記事ではあわせて、「RLUSDがXRPを食い始めるのではないかという懸念を耳にする。オンチェーン上のRLUSD取引をすべて抽出して確認したが、現時点のデータはむしろ逆を示している」との投稿も紹介された。