韓国科学技術情報通信部は26日、2026~2030年を対象とする「第6次科学技術基本計画」を国家科学技術諮問会議の審議・議決を経て決定したと発表した。今後5年間で政府の研究開発(R&D)に200兆ウォン超を投じるほか、GPU26万台の確保やスーパーコンピューター6号機の整備を進め、科学技術、産業、公共など幅広い分野でAI活用を加速する。
科学技術基本計画は、「科学技術基本法」第7条に基づく科学技術分野の最上位計画。76分野にわたる中長期計画や、政府横断のR&D投資・評価の基盤となる。今回は36の省庁・委員会が策定に参加した。
計画策定の背景には、主要国による科学技術政策の強化がある。米国、中国、日本、欧州連合(EU)は、科学技術を経済や安全保障の戦略資産と位置付け、関連施策を相次いで打ち出している。具体例として、米国の「ジェネシス・ミッション」、中国の「第15次5カ年規劃」、日本の「第7次科学技術・イノベーション基本計画」、EUの「技術主権パッケージ」などを挙げた。
第6次基本計画は、「科学技術革新とAI大転換で、誰もが恩恵を受ける新たな成長」をビジョンに掲げる。政策の柱は、科学技術革新体制、AI大転換、技術主導成長、みんなの成長の4つで、12の中核課題と40の詳細課題で構成する。
まず、研究開発システムの刷新を進める。省庁ごとに分散していたR&D体制を、科学技術副首相を中心に再編し、予見可能な投資環境を整える。
研究関連の行政書類は2171件から154件へと、9割以上削減する。失敗を許容する挑戦的研究を後押しするため、評価等級制度を廃止し、目標達成の有無にかかわらず意義のある研究については次段階の課題につなげる仕組みも導入する。
人材支援も拡充する。毎年20人の「国家科学者」を選定するほか、理工系の大学・大学院生1万人に毎年奨学金を支給する。博士研究員は2030年までに4000人を新たに支援する。AI分野の修士レベルの専門研究要員については、2027~2029年に年240人を大企業と政府出資研究機関に別途配分する。
AI分野では、全分野でAXを進める方針を打ち出した。科学技術、産業、公共を含む国家全体でAI活用を広げるとともに、独自の基盤モデル開発も継続する。2027年に独自AI基盤モデルを選定し、その後は分野別の特化モデルへ高度化する計画だ。
インフラ面では、官民でGPU26万台を確保し、スーパーコンピューター6号機と国家AIコンピューティングセンターを整備する。2030年前後の6G商用化を見据えた技術開発も並行して進める。
制度面では、「AIデータセンター特別法」を2027年2月に、「国家研究データ法」を同年6月に施行する予定だ。AIサービス利用経験率を現状の44.5%から2030年までに70%以上へ引き上げる目標も盛り込んだ。誰でも無料で使える「みんなのAI」サービスの普及も進める。
戦略技術への集中投資も柱の1つだ。AI、先端ロボット・モビリティ、次世代セキュリティ・ネットワーク、半導体・ディスプレイ、先端バイオ、次世代電池、宇宙航空・海洋、革新・未来素材、未来エネルギー・原子力、量子の10分野55技術に対し、5年間で60兆ウォン超を重点投資する。
事業化と創業の促進に向けては、研究者による起業(Lab-to-Market)を後押しする制度を拡大する。国民成長ファンドや科学技術革新ファンドなど政策金融も拡充する。半導体分野では、「半導体特別法」が8月に施行されるのに合わせ、クラスターの立地、電力、用水への支援を本格化する。「小型モジュール炉特別法」は9月施行を予定する。
地域、健康、エネルギーを含む「みんなの成長」も第4の柱に据えた。2027年1月施行の「地域科学技術革新法」に基づき、ブロックファンディング型の地域自律R&Dを拡大し、「5極3特」の圏域別特化産業を重点的に育成する。
気候・エネルギー分野では、太陽光や風力など再生可能エネルギーへの転換を進める一方、次世代原子力や核融合など無炭素エネルギーも並行して育成する。セマングム~ソファソンを結ぶ西海岸の超高圧直流送電(HVDC)についても、2030年までの早期整備を進める。
主な成果目標としては、国際的な影響力を持つ研究者数を76人から100人以上に増やすほか、戦略技術分野で先進国との差を2.8年から2年以内に縮める。健康寿命も65.5歳から70歳以上へ引き上げる方針だ。
ベ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は「今後5年は韓国の今後30年を左右する極めて重要な時期だ」と述べた。その上で、関係省庁、民間、自治体が一体となって外部環境の変化やサプライチェーンの課題に対応し、科学技術の成果を国民全体が享受できる国を目指す考えを示した。