Strategyが、保有するビットコインの一部を売却して資金化できる枠を承認し、暗号資産市場で波紋を広げている。売却は義務ではないものの、マイケル・セイラー会長がこれまで繰り返してきた強いビットコイン保有方針との関係から、市場の関心が高まっている。
6月30日付のブロックチェーンメディアU.Todayによると、Strategyの取締役会は最大12億5000万ドルを調達できるビットコイン売却プログラムを承認した。
この措置は、世界最大のビットコイン保有上場企業である同社の財務運営に直結する。Strategyは6月22日時点で84万7363BTCを保有している。足元の価格水準を前提に12億5000万ドルを売却で確保する場合、必要な売却量は約2万800BTCとなり、保有量の約2.5%に相当する。
同社は資金使途として3つの目的を示した。第1に、最大12億5000万ドルのドル建て準備金を確保すること。第2に、優先株の配当金や利息費用の支払いに充てる追加財源として活用すること。第3に、支払い後のドル建て準備金の補充に充てることだ。
さらに、デジタル信用証券やClass A普通株の買い入れ資金としても活用できるとしている。
一方、同社はこのプログラムが実際の売却を義務付けるものではないと強調した。配当金や利息費用を必ずビットコイン売却で賄う必要はなく、プログラムに固定の期限も設けていない。必要に応じて修正、中断、終了が可能だとしている。
市場の反応が強まった背景には、セイラー氏の従来の発言がある。同氏はこれまで、ビットコイン保有者に対して「ビットコインは絶対に売るな」と訴えてきたことで知られる。
こうした中、Dogecoin共同創業者のビリー・マーカス氏はX(旧Twitter)で、セイラー氏の過去発言をまとめた短い動画を共有した。動画に直接的なコメントは添えなかったが、投稿そのものが市場の注目を集めた。
この投稿をきっかけに、マーカス氏自身の過去の売却歴にも再び関心が集まった。あるユーザーは、同氏が数年前に保有していたDogecoinをすべて売却した判断に言及した。
マーカス氏は2013年にDogecoinを共同創業したが、2015年に職を失った後、家賃や生活費を確保するため、保有していたDogecoinと他の暗号資産をすべて売却した。当時の処分額は約1万ドルだったという。
ただ、マーカス氏はこうした反応を深刻には受け止めていないようだ。過去の売却判断に触れたユーザーに対し、「自分は大丈夫だ」という趣旨のミームGIFを投稿した。Strategyのビットコイン売却の可能性が、暗号資産コミュニティで続いてきた古い論争を再燃させた格好だ。
焦点は、Strategyが実際に売却に踏み切るかどうかにある。現時点で売却時期や規模は決まっておらず、市場はドル建て準備金の確保、配当・利息費用の支払い、自社証券の買い入れといった目的のうち、どこにビットコインが充てられるのかを見極めようとしている。
とりわけ、セイラー氏の長期保有方針と、同社の流動性管理をどう両立させるのかが、短期的な変動要因として注視されている。