米テキサス州オースティンで公道試験を始めた量産型「Cybercab」。ステアリングとペダルは備えていない。写真=Tesla

Teslaは、米テキサス州オースティンでステアリングとペダルを備えない量産型ロボタクシー「Cybercab」の公道試験を始めた。Teslaが6月30日にX(旧Twitter)で公開した動画で明らかになった。緊急時の対応や、個人向け販売を前提とした運用体制の構築が今後の焦点になりそうだ。

電気自動車専門メディアのInsideEVsなどが6月30日(現地時間)に報じた。Teslaは同日、Xに27秒の動画を投稿し、「オースティンで最初の量産型Cybercabのエンジニアリングテストを開始した」と説明した。

動画では、安全要員とみられる人物が車両右側の座席に座っていた。Cybercabは2人乗りのロボタクシーとして設計されているが、今回公開された車両は従来の操作系を持たず、両座席とも通常の乗員席に近い構成となっている。

ステアリングとペダルを置かないCybercabの構想自体は新しくない。イーロン・マスク氏は2024年10月の公開イベントで、車内に従来型の運転操作系を設けない方針を示していた。

一方、これまで公道で目撃されてきた試験車両はいずれも、一般的なステアリングとペダルを備えていた。今回の試験は、Teslaが当初示していたロボタクシー構想に一歩近づいた格好だ。

ただ、課題は残る。現在、TeslaとWaymoが商用運行しているロボタクシーはいずれも、非常時のバックアップとしてステアリングとペダルを備えている。

これは、緊急時に救助隊員や事業者のスタッフが車両を直接動かせるようにするためだ。サービスによっては、管制センターから遠隔で車両を動かすケースもあるという。

この点でCybercabは競合とは異なる課題を抱える。TeslaはCybercabを個人顧客向けに販売する方針を示してきたが、競合各社のように事業者自らがロボタクシーを運用する方式に比べると、個人所有車ではソフトウェアやハードウェアに不具合が生じた際、事業者が直ちに回収したり、直接管理したりしにくい。

車載カメラが物理的に損傷した場合や、ソフトウェアに異常が発生した場合に、所有者が車両を自力で移動できるのかどうかも、現時点では確認されていない。

また、Teslaが公開した動画だけでは、安全要員がどのような手段で車両を制御できるのかも分からない。業界関係者は、安全要員が同乗していることは確認できるものの、実際にどのように統制しているかは不明だと指摘している。

画面操作だけで車両を精密に扱うには限界がある可能性があり、別の制御装置を接続している可能性もあるという。

Teslaは自動運転計画を進めており、Cybercabについては2027年までの発売が可能だとしてきた。

それまでに、ステアリングもペダルもない状態で走行できる水準の完全自動運転ソフトウェアを確保できるかが注目点となる。

もっとも、発売時期や実装方式はなお不透明だ。商用化には走行性能だけでなく、故障対応、遠隔支援、車両回収まで含めた一体的な運用体制の実証が求められる。

特にTeslaが競合各社と異なり、個人向け販売モデルを維持するのであれば、ロボタクシーの運用のあり方そのものについても別の解決策が必要になりそうだ。

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