ビットコインが、オンチェーン指標の一つで主要な下値の目安とされる「実現価格」に接近している。過去の弱気相場では、この水準を割り込む局面が底値圏と重なるケースが多く、市場では今回も底入れのシグナルとなるか注目が高まっている。
Cointelegraphが6月30日付で報じたところによると、ビットコインの実現価格は足元で約5万3300ドル(約800万円)。直近の下落を受け、BTC/USDはこの水準との乖離を急速に縮小した。
実現価格は、流通するビットコインが最後にオンチェーン上で移動した際の価格を平均した指標で、市場全体の平均取得コストに近い水準とみなされている。TradingViewによると、BTC/USDは2022年の弱気相場終盤以降、この水準を一度も下回っていない。
CryptoQuantのアナリスト、クリプト・サンムンは、これまでの弱気相場ではビットコインが実現価格を下回る局面があり、その期間が有力な投資機会だったと分析した。そのうえで、「ビットコインが再び実現価格を割り込む場面があれば、新たなサイクルに向けた投資局面とみなせる」と述べた。
市場関係者が実現価格を重視するのは、同指標が過去の弱気相場で底値圏の基準として機能してきたためだ。長期保有者や短期保有者など、投資家集団ごとの取得コストを反映した派生指標もあるが、市場は全体の平均取得コストを示す実現価格の再テストに、より敏感に反応している。
追加下落の可能性を巡る見方もくすぶる。価格モデル開発者のPlanBは、ここ数カ月のトレンド反転に向けた主要条件の一つとして、実現価格の下方ブレイクを挙げた。もう一つは200週移動平均線を下回る水準で週足終値を付けることで、この条件についてはすでに数週間前から満たされているとの見方を示している。
PlanBは今月初め、X(旧Twitter)への投稿で、2月ごろの6万ドルが底だったのか、それとも弱気相場が続くのかについて「50対50」との見方を示した。さらに、ビットコインは実現価格を下回る水準で底を打つ可能性が高いと付け加えた。
一方で、機関投資家マネーの流入は、過去の弱気相場とは異なる変数として意識されている。それでも市場アナリストのアーロン・ベネットは、実現価格を試す展開はなおあり得るとみる。先週、Xのフォロワーに対し、この価格帯を一度も割り込まない、あるいは数週間にわたって下回らないのであれば、むしろ驚きだと述べた。
当面の焦点は、ビットコインが実際に実現価格を割り込むかどうか、そして割り込んだ場合にそれが短期的な下抜けにとどまるかどうかだ。2022年以降、一度も下回っていない水準だけに、5万3300ドル近辺の値動きは、今回の下落局面の行方を見極める重要な分岐点となっている。