Samsung Electronics、SK hynix、Micronのメモリ大手3社が、民生向けDRAMの供給を意図的に抑えて価格を押し上げたとして提訴された。訴状では、DDR3やDDR4などの汎用DRAMから、AIデータセンター向けの高帯域幅メモリ(HBM)へ生産を振り向ける過程で、供給不足と価格上昇を招いたと主張している。
TechRadarによると、同メディアは6月30日(現地時間)に報じた。問題とされているのは生産転換そのものではなく、その動きが3社の協調の下で行われたかどうかだ。収益性の高い製品に生産をシフトすること自体は一般的な経営判断だが、原告側は各社が個別に市場環境へ対応したのではなく、供給制限で足並みをそろえたとみている。これが立証されれば、価格カルテルに当たる可能性がある。
訴状によると、3社はスマートフォンやPC、タブレット向けに使われるDDR3、DDR4の生産を絞る一方で、HBMの比重を高めたとされる。HBMはAIデータセンター向けの高付加価値品で、一般的なDRAMより高値で取引される。原告側は、民生向けDRAMの供給減が価格上昇圧力を強めたと主張している。
市場シェアの高さも論点の一つだ。Counterpoint Researchの集計として、3社はDRAM市場で最大89%、HBM市場では100%のシェアを握るとされた。仮に供給調整が協調行為だった場合、市場への影響は大きいとみられる。Samsung ElectronicsとSK hynixは2000年代にDRAMカルテル事件で有罪を認めた経緯があり、今回の訴訟でも過去の事例が補強材料として取り上げられる可能性がある。
もっとも、法廷でカルテルを立証するハードルは高い。同じ市場環境の下で各社がそれぞれ合理的な判断を下したのか、それとも事前に調整していたのかを見極める必要があるためだ。業界内の受け止めも分かれている。Redditでは、HBMは従来型DRAMに比べて採算性が大きく高く、増産は事業上合理的だとする見方が出ている。
別の利用者はDDR3の縮小について、HBMシフトだけでなく、技術そのものが旧世代化している点も考慮すべきだと指摘した。DDR3は後継世代への移行が進んだ製品であり、生産縮小だけをもってカルテルの直接の証拠とみなすのは難しい、という見方だ。
こうした事情から、今回の提訴が直ちにメモリ価格の安定につながる可能性は高くない。現時点で違法性は立証されておらず、審理の長期化や控訴に発展する可能性もある。仮に原告側が勝訴したとしても、足元で進むメモリ価格上昇を短期間で反転させるのは容易ではないとの見方が強い。
今回の訴訟は、メモリ価格急騰の責任の所在を問う法的争いとして長期化する可能性がある。一方で消費者にとっては、法廷での攻防とは別に、当面のRAM価格負担が続くことがより切実な問題となりそうだ。