ウォール街が、Strategyの高レバレッジによるビットコイン買い増し戦略に厳しい視線を向けている。Canaccord GenuityとTD Cowenは相次いでMSTRの目標株価を引き下げた。こうしたなか、Strategyは最大32億5000万ドル(約4875億円)相当のビットコイン売却を承認し、従来の買い増し一辺倒の姿勢から方針転換を鮮明にした。
6月30日(現地時間)、ブロックチェーン関連メディアのU.Todayによると、Canaccord GenuityはStrategy株(ティッカー:MSTR)の目標株価を163ドルから130ドルに引き下げ、同社のビットコイン取得モデルに警鐘を鳴らした。
Canaccordのアナリストは、Strategyのモデルは上昇局面では機能し得る一方、下落局面には弱いと指摘した。「自動車が後退より前進でよく走るように、MSTRのビットコイン取得モデルも同様だ」と説明している。VanEckのデジタル資産リサーチ責任者、マシュー・シーガル氏も、この見方はレバレッジを活用する多くの仕組みに当てはまるとの認識を示した。
市場の焦点は、借り入れを活用してビットコインを積み増してきた手法が、もはや株価プレミアムを支え切れていない点に移っている。TD Cowenも直近でStrategyの目標株価を400ドルから260ドルへ大幅に引き下げた。一方で、同社の新たな資本政策については前向きに評価し、投資判断は「買い」を維持した。目標株価引き下げの主因としては、ビットコイン見通しの悪化を挙げた。
市場では、Strategyがビットコインへのレバレッジ投資手段として持っていた魅力が薄れているとの見方が出ている。こうしたなか、同社は方針を大きく転換し、大規模なビットコイン売却を承認した。
Strategyは保有資産の一部を売却して現金を確保できる体制に入った。売却規模は最大32億5000万ドル相当で、調達した資金は米ドル準備金の拡充、優先株配当の支払い、自社株買いに充てる計画だ。追加のビットコイン買い増しに向けて資金調達を重ねてきた構図から、保有資産を売却して現金を確保する局面へ移りつつある。
この過程では、配当負担も新たなリスク要因として浮上している。金融評論家のピーター・シフ氏は、現金化プログラムが市場の「死のスパイラル」を招く可能性があると警告したうえで、足元では配当義務の重さを改めて指摘した。「STRCの現在利回りは15%水準だ」とし、「価格を再び100ドルに戻すには、Strategyは配当率を12%から15%に引き上げなければならない」と主張した。
シフ氏は、配当率の引き上げが現金流出を拡大させ、最低限のドル現金残高を維持するために、より早い段階で一段のビットコイン売却を迫られる可能性があるとも述べた。
株価の弱さも目立つ。直近の市場データでは、Strategy株は過去12カ月のうち11カ月で月間下落となる公算が大きい。6月だけで株価は約41%急落した。とりわけSTRC投入後は、ビットコインそのものを下回る弱い推移が鮮明になっている。
市場の注目点は大きく2つある。1つは、Strategyがビットコイン売却を通じてドル流動性と配当負担を安定的に賄えるか。もう1つは、ビットコイン相場が弱い局面でも、負債と優先株を活用した従来の買い増しモデルが機能するかどうかだ。目標株価の相次ぐ引き下げと株価低迷が重なるなか、Strategyのビットコイン・レバレッジ戦略は、構造そのものが問われる局面に入っている。