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暗号資産デリバティブ取引所のBitMEXで、CEOを含む3人の主要幹部が同時に交代した。会社側の正式発表は出ていないが、市場では売却やM&Aを見据えた体制整備ではないかとの見方が広がっている。

ブロックチェーンメディアのCryptopolitanが29日付で報じたところによると、ステファン・ルッツ氏(CEO)、イナ・シュタイナー氏(CFO)、ラファエル・ポランスキー氏(CGO)がそろって退任した。後任のCEOには、これまでグローバル総括法務顧問(CLO)兼COOを務めてきたピター・ウィルキンソン氏が就いた。

今回の人事は、BitMEXの公式リリースではなく、LinkedIn上のプロフィール更新を通じて明らかになった。通常の人事発表や退任に関するコメントも公表されていない。

とりわけ注目を集めているのは、CEOに加え、CFOと成長部門トップが同時に入れ替わった点だ。CFO交代はIPO準備と結び付けて受け止められることが多いが、BitMEXはすでに昨年9月に上場を終えている。このため業界では、今回の人事を企業売却やM&Aの可能性と関連付ける見方が強まっている。

Cryptopolitanは、新体制が潜在的な買い手に対し、BitMEXをより魅力的に見せるための組織再編である可能性があると伝えた。

新CEOに法務責任者が起用された点も、市場の関心を集めている。ウィルキンソン氏はこれまで、BitMEXの法務・コンプライアンス業務を統括してきた。業界では、買い手候補にとって米規制当局との過去の法的問題がデューデリジェンスの重要項目になるとの見方があり、今回の人事はそうした観測を後押ししている。

BitMEXは長年、米規制当局との法的対立を抱えてきた。同社は2014年にアーサー・ヘイズ氏、ベン・デロ氏、サミュエル・リード氏が共同創業したが、2020年10月には米商品先物取引委員会(CFTC)が、マネーロンダリング対策や米国内での営業許可を巡る問題を理由に提訴した。

米司法省も銀行秘密法(BSA)違反の疑いで刑事手続きを進め、共同創業者3人はいずれも経営の第一線から退いた。

その後もCEO交代は続いた。アレクサンダー・ヘプトナー氏は2021年初め、アーサー・ヘイズ氏の後任としてCEOに就任したが、約1年で退任。ルッツ氏は2022年の暗号資産市場の低迷局面で暫定CEOを務めた後、正式にCEOに就き、今回まで職務を担ってきた。これでBitMEXのCEO交代は、この6年で4回目となる。

競合のGeminiでも、経営幹部の退社が相次いだ例がある。Geminiは今年2月、米証券取引委員会(SEC)への提出書類で、COO、CFO、最高法務責任者が退社したと開示した。

当時、市場では上場後のコスト削減と海外事業縮小の延長線上にある動きと受け止められた。Geminiは後任を直ちに補充せず、共同創業者のカメロン・ウィンクルボス氏がCOOの役割を直接担った。さらに人員を約25%削減し、英国、欧州連合(EU)、オーストラリア市場からの撤退計画も発表している。

BitMEXがGeminiと同様のリストラに踏み切るかどうかは、現時点では確認されていない。ウィルキンソン氏がCFOとCGOの職務を兼務するのか、それとも後任を新たに指名するのかについても明らかになっていない。

経営陣交代の背景や今後の戦略について、BitMEXは公式見解を示していない。取引所準備金ベースで見た6月末時点の資産は約9億6200万ドル(約1443億円)。市場では、新体制の下でコスト構造を見直すのか、買収交渉を進めるのか、あるいは規制対応を軸とする運営体制に改めるのかに注目が集まっている。

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