ビットコイン相場では下値を警戒する動きが強まっている。写真=Shutterstock

ビットコイン市場で下値ヘッジの動きが強まり、相場が5万5000ドルを再び試すとの警戒感が高まっている。オプション市場ではプット需要が過去1年で高水準に達し、米上場のビットコイン現物ETFでも資金流出が続く。Strategyの資金繰り対応が短期的な安心材料となる一方、需給面への不安は残っており、6万ドル台の定着はなお見通しにくい。

Cointelegraphが29日付で報じたところによると、ビットコインは26日以降、6万1000ドルを回復できていない。市場では、下方ヘッジ需要の拡大とビットコイン現物ETFからの資金流出を弱気材料として意識する動きが広がっている。

オプション市場では、こうした警戒感が数値にも表れた。Deribitでは27日、ビットコインのプットオプションに支払われたプレミアムが1億1500万ドルに達し、コールオプションの1600万ドルの約7倍となった。この偏りは過去1年で最も高い水準だという。

もっとも、プット需要の増加だけで弱気見通しが一段と強まったとみるのは早計だとの見方もある。ビットコインが6万ドルを上回って安定できない中で、防衛的なポジションが増えているのは確かだが、直ちに積極的な弱気ポジションの拡大を意味するわけではないという。5万5000ドル再試しの可能性は残るものの、ヘッジ需要の増加をそのまま弱気相場入りと結び付けるべきではないとの指摘だ。

投資家心理を圧迫する要因としては、Strategyを巡る財務面の懸念もある。市場では、同社が配当原資の確保や2027年満期の負債に対応できるかを不安視する声が出ていた。これを受けてStrategyは29日、最近の株式売却によって12億ドルの現金を追加で確保したほか、将来的に売却可能な資産として12億5000万ドル相当のビットコインを別途確保したと発表した。

この対応は短期的な流動性不安をいくぶん和らげた半面、ビットコインの需給懸念を強めたとの見方もある。向こう数日から数カ月の間に実際の売却が行われないとしても、市場では、Strategyが足元で17カ月分の配当原資を確保したことで、追加のMSTR株発行に踏み切る必要性は低下したと受け止められている。その結果、同社が保有するビットコインが潜在的な売り圧力として意識されやすくなった。

一方で、米国株市場の地合いは改善した。米国とイランの60日間の停戦合意を受けて国際原油価格が4カ月ぶりの低水準まで下落し、インフレ圧力が和らいだことで、投資家のリスク選好は持ち直した。Goldman Sachsは、S&P500構成企業の年間利益成長率が22%に達するとの見通しを示し、高バリュエーションへの懸念も一部で後退したとしている。

こうした中、資金はハイテク株に向かった。分析会社The Kobeissi Letterは、個人投資家の間で金やビットコインから資金を引き揚げ、半導体株へ振り向ける動きがみられると分析した。Bloomberg集計によると、半導体ETFには累計で200億ドル超の資金が流入し、iShares Semiconductor ETFは81%、VanEck Semiconductor ETFは60%上昇した。

対照的に、ビットコイン現物ETFでは資金流出が続いている。米国上場のビットコイン現物ETFは7週連続で純流出となった。25日に5万8050ドルまで下げた後の自律反発期待はあったものの、この資金流出が相場の重荷となっている。売りの背景がハイテク株への資金シフトかどうかは別としても、現物ETFで大幅な純流出が続く限り、投資家心理の改善は見込みにくいとの受け止めが強い。

市場が同時に注視しているのは、オプション市場で鮮明になった下値ヘッジ需要の拡大と、ビットコイン現物ETFからの資金流出だ。Strategyの流動性対応で短期不安はやや後退したものの、潜在的な売り圧力への警戒は残る。ビットコインが短期間で6万ドル台を回復し、同水準を下値支持線として定着させるには、なお時間がかかるとの見方が強まっている。

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