トークン化株が、投資アクセス拡大にとどまらず暗号資産デリバティブ型のリスク構造も併せ持つことを示した。写真=Shutterstock

SpaceXの株価に連動するトークン化株の無期限先物「SPCX」で、48時間に5000万ドル超の強制清算が発生した。トークン化株が単に株式投資へのアクセスを広げるだけでなく、暗号資産デリバティブと同様のレバレッジリスクを内包し得ることを示す事例として、市場の関心を集めている。

ブロックチェーンメディアのCryptoSlateが25日(現地時間)に報じた。それによると、SpaceX連動の無期限先物であるSPCXは、基礎資産価格が150ドル前後を試す局面で値動きが荒くなり、48時間で5000万ドル超の清算を記録した。

清算規模は同期間の暗号資産デリバティブ市場で、BitcoinとEthereumに次ぐ水準に達した。未上場企業1社の株価に連動する商品としては、主要暗号資産に迫る規模の清算が発生した格好で、異例との見方もある。

注目されているのは、その商品設計だ。SPCXは現物株をそのままトークン化した商品というより、SpaceXの株価に連動するデリバティブに近い。投資家が保有するのは実際のSpaceX株ではなく価格変動へのエクスポージャーであり、株主としての所有権や議決権、現物受け渡しの権利は伴わない。

取引の仕組みも通常の株式市場とは異なる。Binanceは「SPCXUSDT」をUSDT建ての上場前無期限先物として提供し、レバレッジや資金調達費の仕組みを適用している。Coinbaseも、上場前無期限先物は現金決済であり、実株の所有権や議決権は付与されないと説明している。Crypto.comも同様の構造を持つSpaceX連動の無期限先物を扱っている。

このため投資家は、単に株価の方向性を読むだけでは済まない。証拠金、レバレッジ、資金調達費という暗号資産デリバティブ特有の枠組みの中で取引することになり、相場がポジションに不利に動けば、市場の引けや次の取引日を待たずに担保不足で強制清算される可能性がある。

実際、SpaceXの株価は足元で大きく調整し、150ドルを下回って推移した。135ドル以上の基準価格で買い付けた投資家やロングポジションを構築していた投資家は損失局面に入り、一部は担保不足によって自動清算されたという。

市場では今回の事例について、伝統的な株式市場とトークン化株市場で価格形成の仕組みが大きく異なることを示したとの受け止めが出ている。

伝統的な株式は、取引時間や市場参加者、ブローカーのリスク管理の枠組みの中で価格が形成される。これに対し、トークン化株の無期限先物は24時間取引され、取引所ごとの基準価格や資金調達費が適用される。証拠金が不足すれば即座に清算されるため、同じ基礎資産に連動していても、値動きのメカニズムと投資家が負うリスクは大きく異なる。

業界では、今回の動きがトークン化株市場における新たなリスク要因をあらわにしたとの見方も出ている。これまでトークン化株は、投資機会の拡大や端数取引、未上場株へのアクセスといった利点に注目が集まってきた。一方で実際には、商品そのものよりも、周辺にあるレバレッジ、証拠金、資金調達費の構造が先にリスクとして顕在化する可能性があるという。

今後の焦点として市場では、SPCXの建玉残高、資金調達費、清算規模が安定するかどうかを挙げている。基礎資産価格が落ち着き、レバレッジ水準も低下すれば、トークン化株は新たなリスク移転手段として定着する可能性がある。一方で、建玉残高の積み上がりと高いボラティリティが続けば、現物株より先にデリバティブ市場で清算圧力が強まる可能性も指摘されている。

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