中国AIサーバー市場で、HuaweiやCambriconを中心とする国産AI半導体の存在感が一段と高まりそうだ。TrendForceは、同市場における海外勢のシェアが2025年の34%から2026年には21%へ低下する一方、中国メーカー製AI半導体とネット企業の自社設計半導体を合わせた比率は8割近くに達するとの見通しを示した。
香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が6月25日に報じた。台湾の市場調査会社TrendForceは、中国AIサーバー市場で、中国の半導体供給企業とネット企業による自社設計半導体が、2025年中に市場の過半を占めるとみている。
背景にあるのは、海外勢の供給減を中国のサプライチェーンが急速に補完している構図だ。TrendForceは、NVIDIAとAMDを含む海外メーカーの中国AIサーバー市場シェアが、2025年の34%から2026年には21%へ低下すると予測した。
一方、HuaweiやCambriconなど中国メーカーのシェアは、2025年の46%から2026年には56%へ上昇する見通しだ。
これに加え、中国のネット企業による自社設計カスタム半導体の比率も高まっている。TrendForceは、この分野における中国ネット企業のシェアが、前年の20%から23%へ拡大すると見込む。
TrendForceのリサーチマネジャー、フランク・クン氏は深センで開いた同社イベントで、この流れは今後も続くとの見方を示した。地政学リスクの高まりと中国政府による技術自立の後押しが、導入拡大を加速させているという。
需要面では、中国の大手ネット企業がAI半導体の導入をけん引している。これらの企業は、HuaweiやCambriconなどが供給する国産プロセッサの採用を急速に拡大している。
クン氏は、ByteDanceとAlibaba Group Holdingを、AIインフラ整備に最も積極的な企業の代表格として挙げた。
自社チップ開発競争も広がっている。クン氏は、中国のビッグテックはサーバーとAIインフラの最大の購入者であるだけでなく、今後は自社利用向け半導体の開発でも有力な担い手になるとの見方を示した。
AlibabaとBaiduは、それぞれ半導体部門のT-HeadとKunlunxinを通じて、独自のカスタム半導体開発を強化している。
こうした動きは中国に限らない。GoogleとAmazon.comもカスタムAIチップへの投資を加速しており、この種の半導体が世界のAIサーバー市場に占める比率も徐々に高まるとTrendForceはみている。
もっとも、中国市場と世界市場では構図が異なる。NVIDIAは中国での存在感を弱めている一方、世界市場での優位はなお揺らいでいない。
TrendForceは、主要テック企業の積極的な設備投資を背景に、2026年の世界AIサーバー出荷台数が28%以上増えると予測した。2026年の世界市場シェアは、NVIDIAが64%で首位を維持し、AMDが8.6%で続く見通しだ。
一方、HuaweiやCambriconを中心とする中国のAIアクセラレーター供給企業は、来年の世界市場で20%のシェアを確保する可能性があるという。中国市場で積み上げた需要基盤が、海外展開の足場になり得るとの見方だ。
ただ、不確実性は残る。クン氏は、来年の世界市場における最大のリスク要因として、地政学的緊張と関税を巡る不透明感を挙げた。
中国AIサーバー向け半導体市場の再編は当面、技術競争に加え、サプライチェーンと通商環境の変化にも左右されそうだ。