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Microsoftの量子チップ「Majorana 2」を巡り、基盤技術の妥当性に研究者から疑義が出ている。位相キュービットの存在を裏付ける証拠が不十分だとの指摘に対し、Microsoftは米国防高等研究計画局(DARPA)による独立検証などを根拠に反論した。

暗号資産メディアのDecryptが24日(現地時間)に報じたところによると、セント・アンドルーズ大学の物理学者ヘンリー・レッグ氏は、Microsoftが位相キュービットの存在を立証できていないと主張した。

論点となっているのは、Microsoftが最近公表したMajorana 2の技術的基盤だ。Microsoftは同チップについて、前世代比で1000倍高い信頼性を実現し、2029年までの量子コンピュータ実現に向けた重要な前進だとしてきた。

また、量子情報を平均20秒保持し、一部のキュービットでは最長1分持続したとも説明していた。

これに対しレッグ氏は、Natureに掲載した論評で、こうした主張の前提となる位相キュービットの証拠は十分ではないと指摘した。Blueskyでも、Microsoftの「画期的な量子コンピューティング」を支える根拠には、チューニング手順の問題やコードの誤り、データの欠落があるとの見方を示した。

さらに、単一の位相キュービットの成立に必要な基礎物理すら立証されていないと訴えている。

争点は、Microsoftが位相超伝導状態の信号と解釈した測定値にある。レッグ氏は、この信号が実際のデバイス特性ではなく、実験上の欠陥によって生じた可能性があるとみている。

同氏は、位相キュービットの土台となる位相超伝導相の検出は極めて難しく、通常の状態であっても位相超伝導体の信号のように見える場合があると指摘した。

また、Microsoftの結論の根拠となった未公開の輸送データについても、同社の主張に必要な超伝導状態を明確には示していないと批判した。むしろ、量子ドット効果など別の説明の方が測定値と整合的に見えるとしている。

これに対しMicrosoftは直ちに反論した。Microsoft Quantumでハードウェア技術フェロー兼コーポレート・バイスプレジデントを務めるチェタン・ナヤク氏は、「われわれは研究結果とロードマップを堅持する」と表明した。

ナヤク氏は、MicrosoftがDARPAの量子ベンチマーキング・イニシアティブの最終段階に進んだと説明。この過程では、公開資料と非公開資料の双方を対象にした独立検証が行われたとした。そのうえで、懐疑と厳密さは科学の本質だとして、学界による検証を受け入れる姿勢も示した。

Microsoftは同日、Natureに公式の反論文を提出した。自社の測定値は位相キュービットの作製という結論を裏付けるものであり、実験で観測された安定した信号は位相状態と整合すると主張した。レッグ氏が示したように、単なるノイズやギャップレス状態であれば、こうした信号は現れにくいとも反論している。

今回の応酬は、量子コンピュータが公開鍵暗号を破り得る時点として語られる「Qデイ」を巡る議論とも重なる。暗号資産業界では、量子コンピュータが広く使われる暗号方式を破る事態に備える動きが進んでいる。

ビットコインについては、公開鍵が露出したアドレスを標的に秘密鍵を逆算し、資金が奪われる可能性があるとして、特に脆弱な資産の一つとして言及されてきた。

もっとも、今回の批判は量子コンピュータがもたらす長期的な脅威そのものを否定するものではない。レッグ氏の問題提起は、Microsoftがその実現可能性にどこまで近づいているのか、そしてMajorana 2が実際に位相キュービットに基づく成果なのかに向けられている。

量子コンピューティング開発競争では、性能指標だけでなく、中核となる物理現象をどこまで説得力を持って再現し、検証できるかが、今後いっそう重要な争点となりそうだ。

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