Binanceのロゴ(写真=Shutterstock)

Binanceは、欧州連合(EU)の暗号資産規制「MiCA(Markets in Crypto-Assets)」に基づくギリシャでの認可申請を撤回し、別のEU加盟国であらためて認可取得を目指す方針を明らかにした。7月1日に移行期間の終了を控えるなか、新たな欧州拠点の選定が焦点となる。

ブロックチェーンメディアのThe Defiantが6月24日(現地時間)に報じたところによると、BinanceはMiCAの移行期間終了を前に、ギリシャで進めていた手続きを取り下げ、他の加盟国で再申請する方向に切り替えたという。

Binanceは同日、X(旧Twitter)への投稿でギリシャでの申請撤回を正式に認めた。新たに申請する国名については、準備が整い次第公表するとしている。

Binanceの欧州・英国責任者ジリアン・リンチ氏はロイターの取材に対し、「Binanceが欧州から撤退するわけではない」としたうえで、「別のEUの管轄でMiCA認可を進める」と述べた。

これにより、同社が1月にギリシャ資本市場委員会(HCMC)に提出した申請は取り下げとなる。

Binanceは16日時点では、HCMCが申請内容を審査した結果、要件を満たすと判断し、欧州証券市場監督機構(ESMA)による追加審査の段階に進んだと説明していた。だが最終的には同じ手続きを継続せず、別の加盟国で再び認可取得を目指す判断を下した。

同社は、7月1日の移行期間終了までに必要な規制要件を満たすための対応を続けるとしている。

一部利用者にはサービス内容の変更が生じる可能性もある。Binanceは公式ブログで、顧客資産は安全に保護され、いつでもアクセス可能だと強調した。一方で、国ごとの状況やアカウントの状態によっては一部の利用者に影響が及ぶ可能性があるとして、該当者には今後の手続きや選択肢を個別に案内すると説明した。

MiCA完全適用を前に、EUの監督も一段と厳しさを増している。ESMAは23日、MiCA認可を受けていない暗号資産サービス事業者に対する監督基準を公表した。7月1日に移行期間が終了すると、未認可事業者はEU域内で新規顧客の獲得やマーケティング活動を直ちに停止しなければならない。既存顧客に提供できるのも、資産の売却・移転やポジション解消に必要な最小限のサービスに限られる。さらにESMAは、未認可事業者が越境営業を続けた場合、各国当局が共同で執行に動く可能性があると警告した。

今回の遅れは、欧州の暗号資産取引所を巡る競争環境にも影響を及ぼしそうだ。現在、EUで事業を展開する暗号資産サービス事業者の約83%は、なおMiCA認可を取得できていない。一方、Bitvavo、Kraken、Coinbaseはすでに認可を取得済みで、Rippleも最近、ルクセンブルク金融監督庁(CSSF)から欧州経済領域(EEA)30カ国を対象とする予備CASPライセンスを取得した。

影響はユーロ建て取引にも及ぶ可能性がある。CryptoQuantのアナリスト、マルトゥーン氏によると、Binanceのユーロ建て現物取引高は世界全体の現物取引の約1%を占め、1日当たりの取引規模は通常1億〜2億5000万ドルだという。取引が活発な日には6億ドル近くに達することもある。ユーロ建て現物市場でのシェアは約18.5%で、43.3%のKrakenに次ぐ2位としている。

Binanceはこれまで、欧州で最も多くの利用者にサービスを提供する暗号資産取引所だと強調してきた。また、MiCA認可の取得が遅れれば、流動性の低下や競争力の弱体化に加え、投資や雇用の流出を招く可能性があると警告してきた。7月1日までにどのEU加盟国を新たな認可拠点に選ぶのかが、同社の欧州事業の今後を左右する要素となりそうだ。

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