Strategyによる積極的なビットコイン買い増しが、相場上昇の原動力としては機能しにくくなっている可能性がある。CryptoQuant創業者のチュ・ギヨン氏は、同社の継続購入について、価格の押し上げ要因というよりも、市場の流動性を吸収し、既存保有者に出口流動性を提供する役割に近づいているとの見方を示した。
ブロックチェーンメディアのThe Crypto Basicが24日(現地時間)に伝えた。
チュ氏が根拠として挙げたのは、ビットコインの時価総額と実現時価総額の伸びの乖離だ。実現時価総額は、各コインが最後にオンチェーンで移動した時点の価格を基準に算出する指標を指す。
同氏によると、この2年間で実現時価総額は約4670億ドル増加した一方、ビットコイン価格は大きく上放れることなく、レンジ圏での推移が続いた。
とりわけ足元では、時価総額の増加分と実現時価総額の増加分の差がマイナスに転じたという。新規資金が流入しても、同程度の売りが出て上値を抑えている状況を示すものだ。
チュ氏は、新たに入った需要が相場を押し上げるのではなく、既存保有者から新規の買い手への持ち替えに回っている可能性が高いと分析した。
こうした中で、Strategyの手元流動性にも目が向けられている。同社の現金保有は2026年初めに約22億ドルでピークを付けた後、転換社債の買い戻しやビットコインの追加購入の影響で約38%減少し、一時は8億7000万ドルまで落ち込んだ。
その後はいくぶん持ち直したものの、なお約14億ドルにとどまるとしている。
さらに同氏は、配当支払い余力を示すカバー月数の悪化も目立つ変化として挙げた。月次ベースでは80カ月超から14カ月へ急低下したという。
もっとも、チュ氏はこれが直ちに財務危機を意味するわけではないとみている。一方で、積極的なビットコイン買い増しには従来以上に大きな機会費用が伴い始めていると指摘した。大量のビットコイン保有は維持しているものの、固定的な支出に対する手元資金の厚みは薄れているという。
市場構造についても、今回は従来のビットコイン相場の循環とは異なる展開になっていると診断した。通常は大幅な調整を通じてレバレッジや過熱感が整理された後、次の上昇局面に移るが、今回のサイクルでは深い調整がないまま、およそ2年にわたり横ばい圏での推移が続いたとしている。
その結果、強い上昇相場を始動させるだけのエネルギーも、広範な投げ売りを誘うほどの弱さも生まれず、市場は均衡状態にとどまっているとの見立てだ。
このため、Strategyの追加購入は新たな上昇トレンドを生み出すのではなく、既存保有者に出口流動性を提供する役割にとどまる可能性があると主張した。
その上でチュ氏は、Strategyがビットコインを売却すべきだと訴えているわけではないと説明。常時買い続けるのではなく、購入タイミングも含めた体系的な資本配分モデルを検討する必要があるとの考えを示した。
今回の分析は、ビットコインの希少性を評価するとしても、買い付けの時期や財務管理の重要性まで薄れるわけではない、という点に行き着く。手元資金を温存することで、次の買い場でより大きな購入余力を確保できる可能性があり、無条件の買い増しよりも流動性管理が重要な変数になり得るという見方だ。
チュ氏は「現時点の@StrategyによるBTC購入は、価格触媒というより流動性の吸収源に見える。ビットコイン購入をいったん停止し、現金準備を積み増したうえで、購入タイミングに関する体系的な枠組みを採用すべきだ。売り圧力が低い環境であれば、その需要は価格を意味のある形で動かし得る」と述べた。